研究課題/領域番号 |
21K14743
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
笠原 勇矢 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 創薬デザイン研究センター, サブプロジェクトリーダー (10740673)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アプタマー / アンチセンス核酸 / 核酸医薬 / DDS / SELEX |
研究実績の概要 |
核酸医薬の一つであるアンチセンス核酸(ASO)が抱える課題として肝臓以外の臓器(細胞)へのデリバリーがあげられる。ASOを肝臓以外の臓器に効率的に送達し機能を発揮させるデリバリー担体として、同じ核酸分子であるアプタマーに着目した。アプタマーは抗体のように標的分子に特異的に結合することができる1本鎖の核酸分子であり、SELEX法と呼ばれる選別方法によって望みの機能を持ったものを効率的に取得できる特徴がある。本研究では、ASOの機能を指標としたSELEXによって、目的の臓器(細胞)への送達効率だけでなくASOの機能も向上可能なアプタマーの創出を試みる。得られたアプタマーを培養細胞での機能評価だけでなく実験動物における送達効率や治療効果を検証することでその有用性を評価する。なお、アプタマーの核酸分解酵素に対する安定性を向上させるための糖部修飾と、親和性を向上するための塩基部修飾を組み合わせた塩基部/糖部デュアル修飾型人工核酸を利用する。 令和3年度(2021年度)は、SELEXに使用するライブラリの構築とスクリーニング系の構築を進めた。ライブラリの構築については、核酸分解酵素に対する安定性を高めるために核酸糖部の2'位にメトキシ基を修飾した2'OMe-RNAを採用した。また、これまでの知見で細胞内移行性が向上する官能基として見出してきたインドール環をリンカーを介してウラシル塩基の5位に修飾した塩基部/糖部デュアル修飾型人工核酸(2'-OMe-5IT)を設計し、酵素合成の基質として利用するために2'-OMe-5ITの三リン酸体を合成した。スクリーニング系の構築については、培養細胞に対してトランスフェクション試薬を用いてプラスミドをトランスフェクションし、導入した遺伝子の発現量を指標に最適なトランスフェクション条件(細胞播種数、プラスミド濃度、トランスフェクション試薬、トランスフェクション時間等)を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通りにライブラリとスクリーニング系の構築が進んだため。リンカーを介してウラシル塩基の5位にインドール環を修飾した2'-OMe-5ITは、核酸分解酵素に対する安定性の向上とアプタマーの結合力向上の寄与できるため、本研究だけでなく様々な用途に向けた人工核酸アプタマーへの応用展開が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ライブラリとスクリーニング系の構築を進め、アプタマーの機能に着目したスクリーニングを実施する。
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