研究課題/領域番号 |
21K14744
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牛丸 理一郎 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (10873648)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 天然物生合成 / 非典型アミノ酸 / シクロプロパン / 非ヘム鉄酵素 |
研究実績の概要 |
微生物由来の非リボソームペプチド天然物は様々な非典型アミノ酸を構成ユニットとするため構造的多様性に富み、生物活性を示すことから、医薬品開発における利用が期待されている。 Streoptromyces griseoflavus が生産する hormaomycin は 3-ニトロシクロプロピルアラニン ((3-Ncp)Ala) など数種の非典型アミノ酸によって構成されるペプチド天然物である。Hormaomycin 生合成経路において、(3-Ncp)Ala 残基は二核鉄酵素 HrmI と単核鉄-α-ケトグルタル酸依存酵素 HrmJ による連続的な酸化反応を経てリシンから合成される。本研究ではHrmI と HrmJ の触媒機構の解明を目的とする。非ヘム二核鉄酵素 HrmI について、合成基質を用いたin vitro反応や安定同位体標識実験により、反応経路の詳細を明らかにした。また、HrmI のX線結晶構造解析に成功し、鉄の配位によりタンパク質の子ンフォメーションが大きく変化し、酸化反応を制御していることが明らかになった。非ヘム単核鉄酵素 HrmJ については、安定同位体標識実験により、反応の立体選択性を明らかにした。また、基質アナログの反応解析や理論化学計算を用いて、触媒メカニズムを精査した。次年度は、HrmJのホモログの解析や結晶構造解析を行い、立体選択性の制御機構を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究提案当初の計画通り、HrmIの反応解析やタンパク質X線結晶構造解析により、反応機構やタンパク質構造について新たな知見を得ることができた。また、HrmJ についても反応の立体選択性を明らかにし、理論化学計算に基づき、触媒メカニズムを精査できたため、おおむね順調であると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アミノ酸生合成に関わり新たな触媒機能を有するHrmJ のホモログ酵素の探索を進める。またそれらを用いた、X線結晶構造解析や変異導入実験により、触媒機能とタンパク質構造の相関を明らかにする。また合成基質アナログを用いた触媒機構解析を引き続き進める。
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