研究実績の概要 |
新規末端アルキン含有天然物を発見し、そのケミカルスペースを開拓する本研究において、最終年度は以下の成果を挙げた。 ・沖縄県宮城島アクナ浜で採集したOkeania属シアノバクテリアより、末端アルキン含有新規polycavernoside類縁体を単離し、polycavernoside Eと名付けた。本化合物がアフリカ睡眠病の病原生物に対して増殖阻害活性を示すことを見出した。本成果はBeilstein Journal of Organic Chemistry誌に発表した(Beilstein J. Org. Chem. 2024, 20, 645-652.)。 ・同シアノバクテリアより、末端アルキン含有新規マクロライドを単離し、akunolide Aと名付けた。さらに不飽和度やメチル化様式の異なる3種の類縁体を発見した。これらの化合物がアフリカ睡眠病の病原生物に対して増殖阻害活性を示すことを見出した。本成果はJournal of Natural Products誌に発表した(J. Nat. Prod. 2023, 86, 2529-2538.)。 ・沖縄県波照間島ブドゥマリ浜とペムチ浜で採集したMoorena属シアノバクテリアより、末端アルキン含有ポリケチドを3種単離し、budumarynes A-Cと名付けた。さらにこれらの化合物が前骨髄性ヒト白血病細胞に対して増殖阻害活性を示すことを見出した。本成果は日本化学会 第104回春季年会で発表した(H933-3pm-14)。本化合物の詳細な生物活性(マラリア、赤痢アメーバ、トリパノソーマ等に対する増殖阻害活性の有無)については、現在評価を進めている。
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