研究課題/領域番号 |
21K14754
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
西原 達哉 青山学院大学, 理工学部, 助教 (00773201)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 代謝物 / DNAバーコード |
研究実績の概要 |
生体内で産生される代謝物は疾病と関連する診断マーカーとして機能するため、医学研究分野を中心に注目が集まっている。本研究では、そうした代謝物を統一的、かつ超高感度に定量可能とする新規方法論の確立を目指した。具体的には、代謝物の構造情報をDNAの配列情報へ置き換えうるシステムを新たに設計し、定量PCRや次世代シーケンサーにより置き換えたDNAを超高感度に定量する試みとなる。代謝物の種類、及び量をコードした多成分のDNA配列を一斉定量することで、多種類の代謝物を超高感度定量が可能か検証する。 本年度は、チオール代謝物を標的代謝物とし、DNA置換を実現するラベル化剤の合成、機能評価を進めた。実際に、合成したラベル化剤は、各種チオール代謝物との間で定量的に反応が進行することをHPLCにより確認した。また、ラベル化したチオール代謝物をHPLC分取し、DNAへの置き換えが可能か検証した。その結果、デスチオビオチンとビオチンの置換反応を駆動力に、標的代謝物をDNAに置き換え可能であることを明らかにした。これまでに、3成分のチオール代謝物 (GSH, Cys, CoA) に対して本手法を適用しており、それぞれDNAに置換可能であることを確かめている。次年度は、置換反応に伴い得られるDNA量から、生体サンプル中の各種チオール代謝物を高感度に定量可能か検証する予定である。 以上の成果に加え、磁性ビーズ上に、標的代謝物との反応性リンカーを介して、DNAを標識する方法論を検討した。標的代謝物としてグルタチオンを用い本方法論を検証したところ、細胞抽出液や、組織破砕液中に含まれるグルタチオン量に応答し、磁性ビーズからDNAが遊離するという良好な結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で検討したDNA置換を可能にするラベル化剤の設計、合成を進め、実際に代謝物の構造情報をDNAの配列情報へ置き換え可能であることを明らかにすることを成功した。また、代謝物に応答し磁性ビーズから遊離可能なDNAを設計した。磁性ビーズに対して担持し、生体サンプルを添加した結果、標的代謝物であるグルタチオンに応答し、DNAが遊離することを確かめることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本方法論を用いた定量評価を進め、高感度に定量評価が可能か検証する。細胞や組織の抽出液においても、本方法論による標的代謝物の高感度検出・定量が可能か検証する。順調に進んだ場合、標的代謝物の種類の拡張を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に、次世代シーケンサーを用いた解析などを計画している。それに伴い、解析用サンプル作成の消耗品の発注が予想されるため、翌年度の費用に繰り越した。
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