研究実績の概要 |
本研究では、光合成効率の向上と頑健性強化を両立させるために、RBCS-RCA-FLV三重増強イネを作製・選抜し、その光合成機能解析に取り組んだ。最終年度は、2022年度の追試、および栽培する窒素栄養条件を3段階に設定して光合成機能解析を行った。標準窒素条件では、RBCS-RCA-FLV三重増強イネの光合成速度が野生型イネよりも有意に高く、2022年度の結果の再現が得られた。また、低窒素条件でも光合成速度の増加が見られたのに対し、高窒素条件では光合成速度の向上が見られなかった。これらの窒素栄養条件に対する応答は、RBCS-RCA二重増強イネの傾向と同様であった。現在、光合成測定葉のtotal leaf N, Rubisco, RCA, FLVの定量を進めている。これらの項目と光合成速度を関連づけることで、光合成速度向上の程度を定量的に評価する。これらの研究成果をまとめて、原著論文として報告する準備を進めている。 また、最終年度は人工気象室を用いた生育評価試験を行った。光合成速度の向上が認められた35℃条件にて播種後63日目の栄養成長期の段階で生育を評価した。野生型イネと比較して、明確なバイオマス生産量の増加は見られなかった。現在は、追試験をするとともに、25℃条件での栽培試験を行っている。 また、2022年度に行ったRBCS-RCA二重増強イネの3段階窒素栄養条件での光合成機能解析について、原著論文を執筆中である。 その他関連する研究として、イネの2つの新規芒形成遺伝子を同定し、Frontier in Plant Science誌に2報発表した。
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