研究課題/領域番号 |
21K14770
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阪中 幹祥 京都大学, 生命科学研究科, 特定准教授 (60801892)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / ビフィズス菌 / オリゴ糖 / 分子機構 |
研究実績の概要 |
ヒト腸内において初期に定着する細菌は、生涯に渡りヒトの健康に密接に関与していると考えられている。特に、ビフィズス菌は初期定着細菌の代表種であり、宿主の免疫系の発達などに寄与しているため、如何にしてビフィズス菌が乳児腸内で増殖しているのかを解明することは非常に重要である。近年のゲノム解析を含む様々な解析により、ビフィズス菌の乳児腸内での増殖には本菌の高いオリゴ糖利用能が関与していることが示唆されている。そこで本研究では、ビフィズス菌の様々なオリゴ糖利用機構を解明することを目的としている。 本年度は、Bifidobacterium catenulatum subsp. kashiwanohenseにおけるフコシル化母乳オリゴ糖の利用機構を解明した。すなわち、本菌が有するフコシルラクトース輸送体ホモログは、これまでに同定されていたBifidobacterium breveなどのフコシルラクトース輸送体よりも幅広い種類のフコシル化母乳オリゴ糖を取り込めることを見出した。また、菌体内に取り込まれたフコシル化母乳オリゴ糖は、細胞内フコシダーゼAfcAとAfcBによって分解されることが明らかとなった。対照的に、基質特異性が限られているフコシルラクトース輸送体を持つB. breveなどは、基本的にはAfcAしか保持していない(AfcBを持っていない)ことがゲノム解析により示された。これらのことから、B. catenulatum subsp. kashiwanohenseは、フコシルラクトース輸送体が認識可能な基質を拡げると共にAfcBを獲得することで、幅広い種類のフコシル化母乳オリゴ糖に適応できるようになったと推察された。 また、ビフィズス菌の他のオリゴ糖利用機構も解明することを目指して、他の遺伝子の欠損株も作出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビフィズス菌のオリゴ糖利用に関わる酵素遺伝子を新たに同定し、本成果について論文発表を行った。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
ビフィズス菌のオリゴ糖利用に関わる遺伝子・酵素を引き続き同定する。
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