研究課題/領域番号 |
21K14777
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤原 良介 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (60880797)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Methylorubrum extorquens / Metabolic engineering / 発酵生産 / 廃グリセロール / メタノール / グリセロール / メバロン酸 |
研究実績の概要 |
メタノールおよびグリセロールを同時に資化可能なM. extorquens代謝改変株の構築を行った。M. extorquens野生株に対してputative glycerol kinase (Mext_4066) をプラスミドを利用して過剰発現させることで、グリセロール単一炭素源での増殖を確認した。続いてゲノム上に同遺伝子を組み込んだ株を構築し、同様の培地での培養を行ったが、細胞増殖速度は野生株と同程度であった。このことからグリセロールの効率的な資化にはMext_4066をプラスミドにより高発現させる必要があることが示唆された。 また、メタノール由来の炭素を目的生産物に効率的に利用するため、競合反応を触媒する酵素であるformate dehydrogenase(FDH)の破壊を検討した。接合伝達大腸菌を用いた遺伝子破壊の操作において、大腸菌-M. extorquens混合培養体からM. extorquensのみを得るために大腸菌が増殖できないメタノール培地での培養を行うステップがあるが、本研究ではメタノール資化経路の破壊を行うため、別の原理によるスクリーニング法の開発が必要となった。そこでクロラムフェニコール耐性遺伝子をゲノム上に組み込み、新たな遺伝子破壊操作プロトコルを確立した。新たに確立したプロトコルによりFDH遺伝子(Mext_4582)の破壊に成功した。M. extorquensは4つのFDHアイソザイムを保有しており、現在残りの3つの破壊をおこなっている。 更に、メバロン酸生産経路を導入するためのプラスミドを構築済みであり、今後これを用いたメバロン酸生産を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内在遺伝子の過剰発現によってグリセロール資化能が強化されることを確認した。また本研究の遂行上必須となる遺伝子破壊操作のプロトコルを確立した。一方で、1つの遺伝子破壊にかかる時間が想定よりも長く、当初予定していた遺伝子破壊を全て実施することが出来なかった。これは遺伝子破壊株の増殖速度に依存しているため、破壊にかかる期間を劇的に短縮することは難しいと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子破壊操作に想定よりも時間がかかることが分かったため、逐次的に遺伝子破壊を行っていくのではなく、候補となる遺伝子を複数並行して破壊していく。また既に構築済みであるメバロン酸生産経路を導入するプラスミドにグリセロール資化遺伝子(Mext_4066)を導入する。これらの並び順やプロモーターなどを最適化することで、生産性の向上を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な半導体不足の影響により、購入予定であった培養インキュベーターが欠品となっていたため。次年度に該当機器の購入が可能であれば、購入を検討する。
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