研究課題/領域番号 |
21K14800
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 隼哉 東北大学, 農学研究科, 助教 (50781647)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 皮膚脂質 / 脂質酸化 / LC-MS/MS |
研究実績の概要 |
皮膚は生体組織で最大の臓器であり、私たちを外部環境から守る生理的・物理的シールドとして常に機能を発揮している。「皮膚の酸化」は、皮膚の異常・老化(シミ、シワ、たるみ等)や乾癬、アトピー性皮膚炎、皮膚がんといった皮膚疾患に大きな影響を与え、QOLを著しく低下させることから、皮膚酸化の全容解明は、学術界・社会から強く要請されている。特に、皮脂を含む表皮は、外部環境からの種々の刺激(紫外線や化学物質、アレルギー抗原、細菌・ウイルス、等) に対するバリア機能を示すことから、酸化による影響が注目されている。 応募者はこれまでに、生体や食品中の酸化修飾のメカニズム解明、および抗酸化物質によるその予防法の構築に重点を置いて研究を進めてきた。この基盤技術をもとに、皮膚脂質の酸化修飾を多角的な視点で捉え、いまだ明らかでない、皮膚脂質の酸化が皮膚状態・疾患に与える影響の解明につながり、食品機能成分を活用した酸化制御により、皮膚の異常や老化、疾患の予防・改善方法の構築を目指す。そのために2021年度は、1)皮膚脂質の酸化ターゲットの同定と酸化メカニズムの評価、を重点的に進めた。具体的には、皮膚脂質の皮脂に着目し、皮脂を構成する脂質分子の種類の違いにより、異なるメカニズムで酸化が進行することを明らかにした。 本研究は、皮膚の酸化が皮膚状態に与える影響の真の理解につながり、健全な皮膚状態の維持を実現できることから、社会的意義と波及性が極めて大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で取り組む、1)皮膚脂質の酸化ターゲットの同定と酸化メカニズムの評価、に関して、皮脂の酸化ターゲットを選定し、それらの酸化メカニズムの評価を達成した。それらが異なる酸化メカニズムで酸化を受けていることを確認し、これらの内容は投稿論文として採択された。また、本研究内容は関連学会の受賞にも繋がった。以上を以って現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、1)皮膚脂質の酸化ターゲットの同定と酸化メカニズムの評価、2)皮膚脂質の酸化修飾が皮膚に与える生理的・物理的影響の解明、3)皮膚の老化や機能低下を予防する食品機能性成分の探索と評価、これらをさらに推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、予定していた一部の実験の実施が困難であったため、これらを次年度に実施することとしたため。
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