研究課題/領域番号 |
21K14803
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
北風 智也 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (50874278)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ビタミンA / 運動 / 骨格筋 / マイオカイン |
研究実績の概要 |
骨格筋は体重の約40%を占め、総エネルギー消費の約30%を占める人体で最大の組織である。骨格筋量は不活動や加齢などにより低下するが、骨格筋量の低下は運動機能の低下だけでなく2型糖尿病などの代謝疾患のリスク増加にもつながる。骨格筋の量的・質的な増強には運動が有効であるが、運動による骨格筋の量的・質的な増強効果の分子機構は未だ不明な点が多い。これまでに運動後の血中ビタミンA濃度が変化することが報告されているが、運動後のビタミンAの代謝調節機構や生理機能は明らかではない。本研究では、「運動によるビタミンA代謝の変化が骨格筋機能にどのように関与するのか?」を明らかにすることを目的とした。運動直後のマウス肝臓及び骨格筋中のレチノイド量を解析した結果、運動直後の肝臓中レチニルパルミテイトとレチニルステアレイト量が有意に増加した。肝臓中レチノール量は運動によって減少する傾向が得られた。骨格筋中のレチノールは運動によって有意に増加した。また、運動を模した代償性過負荷モデルを用いて骨格筋を解析した結果、過負荷によって、ビタミンAの代謝や輸送に関与するタンパク質の発現量が顕著に増加した。これまでに、骨格筋におけるビタミンAシグナルの活性化が、筋肥大に関与するトランスグルタミナーゼ2の発現量を増加させることを見出している。そこで、運動や過負荷がトランスグルタミナーゼ2の発現に与える影響を解析した。その結果、運動と過負荷のどちらの刺激においてもトランスグルタミナーゼ2の発現量が増加した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動後によって肝臓と骨格筋のビタミンA代謝が変化することが明らかになった。また、運動によるビタミンA代謝の変化は肝臓と骨格筋で異なる可能性を見出した。さらに、運動後の骨格筋でビタミンA代謝酵素が増加することも明らかにすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
運動によるビタミンA代謝酵素の発現調節機構を明らかにするため、培養細胞レベルでの解析を進める。また、運動によるビタミンA代謝の変化が骨格筋機能に与える影響を解析するため、ビタミンAシグナルが減弱するモデルとしてビタミンA欠乏やレチノイン酸受容体のノックダウンを用いて、運動後の骨格筋におけるビタミンAシグナルの影響を解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
納品に時間を要する試薬等があり、次年度に購入する予定である。
|