• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

大豆イソフラボン腸内細菌代謝物エコール抱合体の雌特異的食欲抑制作用の機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K14805
研究機関愛媛大学

研究代表者

藤谷 美菜  愛媛大学, 農学研究科, 講師 (70737402)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードequol / isoflavone / glucuronide / female-specific effect
研究実績の概要

我々は、大豆イソフラボン・ダイゼインが卵巣の有無を問わず雌特異的に食欲を低下させ、その腸内細菌代謝産物エコール(EQL)が作用物質であることを発見した。先行研究から、EQLは体内では4’位グルクロン酸抱合体(EQL-4’-G)と7位硫酸抱合体(EQL-7-S)として大部分が腸肝循環中に存在すること、胆汁中EQL-4’-Gは卵巣の有無を問わず雌ラットではメジャーな抱合体であるが、雄ラットではほとんど存在しないことから、腸肝循環中のEQL-4’-Gが雌特異的な食欲抑制作用に関与すると推測している。EQL-4’-Gはラット肝臓UDP-グ ルクロン酸転移酵素2b1(Ugt2b1)によって合成されることが報告されているが、UDP-グルクロン酸転移酵素2b1(Ugt2b1)遺伝子発現量の雌雄差については不明であった。本研究では、Ugt2b1遺伝子発現と血中EQL抱合体濃度の雌雄差を明らかにすることを目的とし、雌雄SD系ラット(6週齢)をダイゼイン無添加または添加飼料(150 mg/kg 飼料)で2週間飼育し、肝臓Ugt2b1遺伝子発現と血中EQL抱合体濃度を測定したところ、肝臓Ugt2b1遺伝子発現は雌特異的に見られた。また、血中でも胆汁中と同様にEQL-4’-Gが雌特異的に存在していることが明らかとなった。肝臓でUgt2b1が雌特異的に発現していることが腸肝循環および体循環中でEQL-4’-Gが雌特異的に存在する原因であると推測された。ダイゼインの食欲抑制作用には雌特異的に存在するEQL-4’-Gが重要であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

作用型エコール抱合体を特定するための研究は、エコール4’位グルクロン酸抱合体、7位硫酸抱合体を大量に入手するために時間を要し実施できなかった。しかし、2022年度の研究により、雌特異的にエコール4’位グルクロン酸抱合体が存在している原因として肝臓で雌特異的に発現しているUDP-グ ルクロン酸転移酵素2b1(Ugt2b1)の関与が示唆されたことから、作用型エコール抱合体を特定するためにこの酵素の発現や活性を制御するというアプローチも可能となったため、概ね順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

エコール4’位グルクロン酸抱合体および7位硫酸抱合体を大量に入手する方法として酵素合成を考えていたが、これまでの研究で得られたラットの胆汁から分
取する方法についても検討を進めている。また、肝臓Ugt2b1の発現や活性を調節することで、エコール抱合体の存在比を変更できる可能性も考えられる。2023年度はこれらのいずれかの方法でエコールの作用型抱合体を特定する。
ダイゼイン摂取により視床下部ウロコルチン遺伝子発現が増加することが明らかになったが、視床下部ウロコルチンが食欲抑制作用に関与するのかは不明であるため、ダイゼイン摂取による飼料摂取量の減少が見られたラットにCRF2型受容体アンタゴニスト(astressin 2B)を脳室内カニューレより投与し、ダイゼイン摂取による食欲抑制作用が減弱または消失するのかを検討する。

次年度使用額が生じた理由

2021年度に予定していた作用型エコール抱合体を特定するための動物試験は、エコール4’位グルクロン酸抱合体、7位硫酸抱合体を大量に入手するために時間を要し実施できなかったため、次年度使用額が生じたが、これは当初の計画通りの動物試験を行うために使用する。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi