研究実績の概要 |
2型糖尿病患者の増加の一因として食習慣の欧米化に伴う腸内細菌叢の乱れ(Dysbiosis)が考えられている。本申請では、日本伝統の発酵食品に着目し、食習慣の欧米化により誘発されたDysbiosisを発酵食品摂取が改善するメカニズムをショットガンメタゲノム解析、トランスクリプトーム解析、メタボローム解析を統合したマルチオミクス解析により解明することを目的とした。 B6/Jマウス(♂・8週齢、各群10匹)に12週間、高脂肪高ショ糖食±味噌食を給仕し、20週齢時に種々の解析を実施した。両群間で体重に有意な差はなかったが、握力/体重比は味噌投与群で有意に高値であった。また、味噌投与群で耐糖能は有意に改善し、有意な便および血液中の短鎖脂肪酸濃度の上昇を認めた。さらに味噌投与群で小腸粘膜固有層の炎症細胞が減少、抗炎症細胞が増加した。最後に腸内細菌叢をショットガンメタゲノムシーケンスで調査した。LEfSe解析によるとPrevotellaceae, Deferribacteraceae, order Deferribacterales, class Deferribacteres, Christensenellaceae, Dehalobacterium, Family Desulfitibacter, Family Gemmatimonadaceae, Family Gemmatimonades, class Gemmatimonadalesが、味噌投与群で増加していた。
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