研究課題/領域番号 |
21K14809
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
松田 寛子 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 講師 (80709733)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 澱粉質野菜 / レジスタントスターチ / 血糖値 / 血中中性脂肪 / カボチャ / 澱粉 / 調理 / 機能性 |
研究実績の概要 |
カボチャ精製澱粉(直径約10~20μm)において、加熱前に植物油を添加すると、RS割合(総澱粉量に対するRS量の比)と予測血糖値上昇度(eGI値)には負の相関が得られることを確認した。それぞれの処理(異なる加熱冷却条件と植物油の添加タイミング)で得られた澱粉試料について、走査型電子顕微鏡により表面構造を観察したところ、すべての処理において、精製澱粉は直径約100μm程度の顆粒を形成した。 カボチャ原体パウダーについて、加熱冷却条件の違いによってRS生成量が異なり有意差が得られたが、eGI値では全てにおいて違いは見られなかった。また、精製澱粉の結果とは異なり、RS 割合と eGI 値 との間には、統計学的な相関関係は得られな かった(r=-0.074)。この原因として、各試料 における RS 量が 0.02g/カボチャ100g と少ないため、生体内における血糖値上昇の抑制には、RSの変動はさほど大きな影響を与えないと予想できる。しかし、原体パウダーは温度に関わらず加熱処理を施すと胆汁酸吸着能が向上することが示唆された。この効果は、濃度依存的に有意に上昇した。試料中の RS量は微量であるものの、胆汁酸吸着率と RS 量との間には、正の相関があることが示唆され た(r=0.47)。そのため、加熱後のカボチャ料理における RS 含有量の微量な変動は、食後の血糖値の上昇抑制よりも胆汁酸吸着率に影響を与え、食後の脂質分解吸収の抑制に貢献する可能性が考えられた。この時、表面構造はいずれの試料によっても変化は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予期せぬ結果が得られたため、新たに検討実験を追加した。それにより、当初の計画に対して遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、カボチャについて精製澱粉と原体パウダーでそれぞれ異なる検討を進めていく。精製澱粉については、顆粒形成にかんする機構の解析を実施し、一方の原体パウダーについては、動物を用いた機能性評価を実施する。 また、カボチャだけでなくジャガイモ・サツマイモ澱粉についても、油保持能力について検討し、未解明であった各澱粉質野菜の澱粉特性を明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予期せぬ結果の検討実験に尽力したため、予定していた機器の購入を見送ったため、次年度使用額が大きく生じたと考えられる。次年度は、研究計画に基づいた検討を遂行すると共に、動物実験も実施する予定があるため、研究費をより効率的に使用していく。
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