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2021 年度 実施状況報告書

食品の香気成分の抗菌活性を用いた新たな感染症対策

研究課題

研究課題/領域番号 21K14811
研究機関相模女子大学短期大学部

研究代表者

山口 孝治  相模女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (90441724)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード香気成分 / 組み合わせ / 増殖抑制 / 殺菌作用
研究実績の概要

令和3年度では、植物の精油成分に含まれる香気成分(テルペノイド)であるCarvacrolとThymolの組み合わせに、他の香気成分をプラスした混合物の抗菌活性を評価した。その中で、植物の香気成分であるnootkatoneとeugenolの組み合わせが最も効果的であることを明らかにした。
増殖抑制作用については、それぞれ単独使用の時と比較して、より低濃度の組み合わせで起こった。特にCorynebacterium diphtheriaeとAcinetobacter baumanniiに関しては、0.25 mMという低濃度の組み合わせで増殖抑制が起こった。しかし、組み合わせの違いによって、増殖抑制作用に大きな違いは見られなかった。
一方で殺菌作用については、組み合わせによって大きな違いが見られた。CarvacrolとThymolを0.5 mMで組み合わせた場合は、添加後30分後では完全な殺菌は見られなかったが、CarvacrolとThymol、nootkatone、eugenolの4種類を組み合わせた場合では、C. diphtheriaeとSalmonella Enteritidisで完全な殺菌作用が見られた。さらに4つの香気成分を1 mMで組み合わせた場合は、C. diphtheriae、Listeria monocytogenes、A. baumannii、Escherichia coli、S.enteritidisの5菌種で完全な殺菌作用が見られた。これらの結果から、テルペノイドの抗菌活性に関しては、組み合わせによって増強されること、その効果については単独使用の時と同様に菌種によってその感受性に違いがあることが明らかとなった。
また、テルペノイドのコーティングとテルペノイドを加えたワセリンの抗菌活性については、令和4年度に行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の内容としては、「テルペノイドとの組み合わせによる抗菌活性の評価」「テルペノイドを加えたワセリンの抗菌活性の評価」「テルペノイドのコーティングによる感染予防効果の評価」の3つを予定しているが、令和3年度は「テルペノイドとの組み合わせによる抗菌活性の評価」に関する研究を完了することができ、現在論文を投稿している状況である。
また、現在「テルペノイドのコーティングによる感染予防効果の評価」についての研究を進行中であるが、当初の「寒天培地にコンラージ棒を用いてテルペノイドを広げる」という方法では増殖抑制は見られなかったため、今後は他の方法を選ぶ必要がある。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策としてはまず、テルペノイドを寒天培地にコーティングする方法を開発する必要がある。当初の方法でうまくいかなかった理由としては、テルペノイドが寒天培地中に拡散された可能性があるため、「寒天濃度を上げて拡散を防ぐ」という方法を進行中である。また、テルペノイドを染み込ませたペーパーフィルター上での殺菌効果の判定を思案中である。
また、「テルペノイドを加えたワセリンの抗菌活性の評価」に関しては、まずテルペノイドとワセリンを均一に混和する方法を開発する必要がある。この混和方法が完成次第、寒天培地上での阻止円の測定を行う。阻止円測定法によって効果が見られた場合は、テルペノイドを添加したワセリンをコンラージ棒で塗り広げ、細菌の増殖が抑制されるかを評価する。

次年度使用額が生じた理由

令和3年度の本研究実施にあたり、令和3年度に行う予定であった実験の一部が行えなかったため、物品費に107,156円の繰越使用が発生した。令和3年度に行えなかった研究については令和4年度に行うため、繰り越した金額も含めすべての金額を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] スマートフォンの汚染状況の調査2022

    • 著者名/発表者名
      山口孝治
    • 雑誌名

      相模女子大学紀要

      巻: 85 ページ: 1-6

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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