研究課題
前年度の研究では、東南アジア原産のショウガ種に由来する成分である1'acetoxychavicol acetate (ACA) の個体における効果をより詳細に明らかにするため、複数の疾患モデル(LPSを用いた急性呼吸窮迫症候群モデル [ARDSモデル] および敗血症モデル) を用いて解析を行い、ACAが両モデルにおいて病態および生存率の改善効果を示すことを示した。本年度は、アセトアミノフェン誘導性急性肝炎モデルを用いてACAの効果の検証を行った。マウスに対してACAを投与した後、アセトアミノフェンを用いて急性肝炎を誘導したところ、プラセボ群では約40%のマウスしか生存しなかったのに対し、ACA投与群では全てのマウスが生存した。肝臓の肉眼所見およびHE染色像においては、肝臓における傷害の低減が観察され、また、これらの観察と一致して、肝細胞において生成される酵素であるASTおよびALTの血中濃度の低下も観察された。さらに、肝臓における炎症性サイトカイン遺伝子発現や血中の炎症性サイトカイン濃度の低下も観察された。これまでの研究で、ACAはROS産生を抑制することでその効果を発揮する可能性が示唆されていることから、肝臓のKupffer細胞に注目し、ROS産生を評価したところ、ACAはKupffer細胞においてROS産生を抑制することが明らかになった。これらの結果から、ACAは急性肝炎において、Kupffer細胞における酸化ストレスを低減することでその病態を軽減する可能性が示唆された。
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Int Immunol
巻: dxae024 ページ: dxae024
10.1093/intimm/dxae024
Immunity
巻: 57 ページ: 649-673
10.1016/j.immuni.2024.03.004