研究課題/領域番号 |
21K14820
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 希 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40725876)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エクオール / 卵巣摘除 / 排尿筋過活動 / 免疫老化 |
研究実績の概要 |
初年度は卵巣摘除(OVX)ラットにおける膀胱過活動に対するエクオールの予防効果の検討を行った。病態対照群(C-OVX)は偽手術群(Sham)に比べ術後8週の体重が増加し、エクオール摂取群(E-OVX)でも同様に増加していた。膀胱内圧測定の結果では、Shamに比べC-OVXで一回排尿量の減少、排尿間隔の短縮、排尿時膀胱内圧の低下、膀胱コンプライアンスの低下がみられ、排尿筋過活動の発生が確認できた。一方E-OVXでは、一回排尿量の低下および排尿間隔の短縮は軽減しており、膀胱内圧や膀胱コンプライアンスはShamと同程度を維持し、OVXによる排尿筋過活動の発生を予防していた。フローサイトメトリーを用いて卵巣摘除およびエクオールによる脾臓およびパイエル板のT細胞への影響を解析した。脾臓のCD4陽性T細胞に対する制御性T細胞の割合は、Sham群に比べC-OVX群で減少し、E-OVX群でその減少を抑えていた。パイエル板のCD4陽性T細胞に対するナイーブT細胞(N)、セントラルメモリーT細胞(C)、エフェクター/エフェクターメモリーT細胞(E)の割合は、Sham群に比べC-OVX群でN:減少、C:増加、E:増加と変動した。E-OVX群では、OVXによる変動がShamと同程度まで変動が軽減していた。パイエル板のCD8陽性T細胞においてもCD4陽性T細胞と同様の影響がみられた。膀胱平滑筋層の神経細胞への影響を神経マーカーのNeurofilament-H、Peripherinに対する抗体を用いた免疫組織化学染色によって解析した。Sham群に比べ、C-OVX群で平滑筋層の面積に対するPeripherinの発現面積が減少し、E-OVX群ではその減少が抑えられていた。これらの結果から、エクオールは卵巣摘除によって発生する排尿筋過活動の発生および末梢の免疫老化を予防することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、令和3年度は加齢性難聴の研究を行う予定であったが、本学の動物施設において改修工事によりマウスの飼育を中断しなければいけなくなる可能性が出てきてしまったため、今年度は卵巣摘除ラットの研究を先に行った。そのため、準備していた特殊飼料の量では不足することが考えられたため、特殊飼料を必要量準備するために実験開始の時期が遅くなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
・卵巣摘除ラット 現在予定匹数の2/3程度まで進んでおり、残りの検討を行う。また、血清サンプルを用いて行うLuminexなどの解析は、サンプル数がそろい次第順次解析していく予定である。 ・加齢性難聴マウス すでにマウスの飼育を開始している。今後経時的に聴性脳幹反応を行い、可聴閾値の解析を行う。最終測定が終わり次第、計画していた実験項目を予定通り行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定いていた実験計画が前後してしまい、予定していた額と差が生じてしまったが、実験項目に変更はないため、次年度に試薬類の購入に使用する。
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