研究課題
いもち病抵抗性タンパク質Piasは、2つのNLR型受容体(Pias-1とPias-2)をによって構成され、Pias-1は抵抗性反応の実行因子としての役割を持つ一方で、Pias-2はいもち病菌因子の認識に関わる役割を持つ。Pias-2には、IDとしてDUF761が存在する。Oryza属に含まれる様々な種(O. sativa、O. rufipogon、O. punctataなど)や他のイネ科植物のゲノム配列情報を利用してPias遺伝子座の変異を調査したところ、Pias-2対立遺伝子産物にはDUF761の位置にPKc_MAPKKやWRKYなどの様々な種類のタンパク質の断片が存在していた。さらに、Pias-2対立遺伝子産物のIDの種類を集計したところ、Aゲノム種が持つIDとしてはDUF761、HMA、DUF677が優占する一方で、他のゲノム種においては、HMA、DUF677、PKc_MAPKKが優占していた。興味深いことに、DUF761をIDとして持つPias-2対立遺伝子産物はAゲノム種のみに見られ、PKc_MAPKKをIDとして持つものはO. punctataなどの系統に限られた。Pias-2を特定した「Keiboba」のゲノム情報を詳細に調べるとPias-2のごく近傍にO. punctataが持つID(PKc_MAPKK)領域と高い相同性の領域があることを見出した。これらの結果から、Pias-2の進化過程においてIDの着脱(PKc_MAPKKからDUF761)が起きたと推定される。Oryza属における、IDの分布を詳細に調べた結果から、着目すべきイネ遺伝子を7つまでに絞り込んだ。
2: おおむね順調に進展している
IDと相同性が高い配列を持つイネ遺伝子の欠損系統をイネ系統「ひとめぼれ」に対してCRISPR/Cas9法によって遺伝子欠損イネの作成を開始した。
現在、IDと相同性の高いイネ遺伝子を欠損させたイネ系統の作出を行っている。十分な種子数が得られ次第、接種検定、およびRNAseq等を行うことで、標的とした遺伝子の機能解析を進める。
最終年度に、遺伝子欠損株のRNAseq解析を実施するための予算が必要となったため。
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