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2022 年度 実施状況報告書

ダイズにおけるトコフェロール生合成経路を制御する遺伝子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 21K14835
研究機関国立研究開発法人国際農林水産業研究センター

研究代表者

朴 チョル  国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 任期付研究員 (00886913)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードFunctional food / Glycine max / Quantitative trait loci / Soybean Tocopherol / Vitamin E
研究実績の概要

ダイズは、世界の食用油消費量の約30%を占め、重要なビタミンE (トコフェロール)の供給源となっている。トコフェロールの4種類のアイソフォーム(α- Toc、β- Toc、γ- Toc、δ- Toc)のうち、α-Tocは人の体の中に最も高いビタミンE活性を持つ成分である。しかし、ダイズ種子のα-Toc含有量が低く、その栄養性が影響されている。高機能性ダイズを開発するため、種子のα-Toc含有量を増加する必要がある。本研究では、ダイズ種子のα-Toc含有率を向上させるため、既存のトコフェロール生合成に関連する遺伝子に加え、新たな生合成に関連する遺伝子(座)の同定及び機能解析を目的とする。
今年度では、これまでダイズ品種「K099」と「Fendou 16」の交雑に由来するF6世代の組換え自殖系統分離集団を用いて、トコフェロールの成分に関連するQTLクラスター(qTClu14)を検出した。qTClu14の座上するゲノム領域にメチル化に関与する遺伝子Glyma.14g132800をqTClu14の原因候補遺伝子として同定した。また、qTClu14の準同質遺伝子系統(NIL)を用いて、候補遺伝子の機能解析を行った。未成熟種子における遺伝子発現分析を行った結果、候補遺伝子はNIL間の発現量の1.7倍の差を示し、収穫後の完熟種子においては1.2倍のα+γ-Toc含有率の差をあることを確認した。本研究で同定された候補遺伝子Gyma.14g132800は、これまで確認された生合成遺伝子とは異なり、新規遺伝子であることが推定される。また、本研究で同定したトコフェロール生合成経路を制御する遺伝子と、これまで確認されたα-Toc生合成に関与遺伝子(γ-TMT3など)の集積系統が作成され、高機能性ダイズ育種素材の創出が期待されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度では、ダイズ品種「K099」と「Fendou 16」に由来する組換え自殖系統分離集団においてトコフェロールの含有量と含有率に関連するQTLクラスター(qTClu14)を検出した。qTClu14を座上するゲノム領域にメチル化に関与する遺伝子Glyma.14g132800をqTClu14の原因候補遺伝子として同定した。また、DNAマーカー選抜によりqTClu14の準同質遺伝子系統(NIL)を作成し、候補遺伝子の機能検証を行った。未成熟種子における遺伝子発現分析を行った結果、候補遺伝子はNIL間の発現量の1.7倍の差を示し、収穫後の完熟種子では1.2倍のα+γ-Toc含有率の差を示すことを確認した。本研究で同定された候補遺伝子Gyma.14g132800は、ダイズのトコフェロール生合成経路において、前駆物質であるMPBQ(2-methyl-6-phytylquinol)からDMPBQ(2,3-dimethyl-6-phytylquinol) への生合成に関与し、これまで確認された生合成遺伝子とは異なり、新規遺伝子であることが推定される。また、本研究で同定したトコフェロール生合成経路を制御する遺伝子と、これまで確認されたα-Toc生合成に関与遺伝子(γ-TMT3など)の集積系統を作成するため、「Fendou 16」と「KAS」の交雑後代に対してDNAマーカー選抜により2つの遺伝子を集積したダイズ系統を作成した。これらの結果により、実験計画当初の目的が達成されている。

今後の研究の推進方策

元親品種(K099、Fendou 16)およびqTClu14のNILにおける候補遺伝子Gyma.14g132800の塩基配列並びに遺伝子ゲノム構造の解析を行い、候補遺伝子がトコフェロール生合成を制御する機構を解明していく。また、引き続き本研究で同定されたトコフェロール生合成経路を制御する新規遺伝子Gyma.14g132800と既存遺伝子の集積系統を作製・選抜していく。作成した集積系統対して、α-Toc含有率を評価し、各遺伝子の効果を確認するとともに、高いα-Toc含有率を持つ高機能性ダイズ育種素材の創出を目指す。

次年度使用額が生じた理由

コロナの蔓延による、学会参加など外部活動の計画変動と分析プロトコルの効率化により、試薬とキット購入品や委託費を削減することができた。
この差額をデータ解析の委託費等として次年度使用することで効率化を図る。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Identification of quantitative trait loci and candidate genes controlling the tocopherol synthesis pathway in soybean ( <scp> <i>Glycine max</i> </scp> )2023

    • 著者名/発表者名
      Park Cheolwoo、Liu Dequan、Wang Qingyu、Xu Donghe
    • 雑誌名

      Plant Breeding

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/pbr.13104

    • オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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