研究課題/領域番号 |
21K14838
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
竹島 亮馬 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 研究員 (70806603)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日長反応 / 遺伝解析 / 普通ソバ / QTL / 生態型 / 成熟期 |
研究実績の概要 |
普通ソバは短日植物とされているが様々な緯度で栽培されており、各地域・作期に応じた生態型に分化している。その生態型とは、日長応答性の違いから区分される3つの型―感光性の弱い夏型・強い秋型・その中間型―である。 我々はこれまでに、ソバは日長に応答した「開花の早晩性」と「結実・成熟の早晩性」が異なる遺伝的要因に制御されており、「結実・成熟の早晩性」こそがソバの生態型を制御する要因である可能性を示したきた。
本年度は夏型×秋型系統の交配に由来する複数のF2集団を用いて、GRAS-Di法により高密度な連鎖地図の構築、開花期・成熟期のQTL解析を行った。その結果、いずれの集団においても開花期と成熟期に関するQTLは異なる遺伝子座に座乗しており、ソバの「開花の早晩性」と「結実・成熟の早晩性」は異なるQTLが支配していることが明らかになった。またこれらQTLの連鎖マーカーを開発し、検出したQTLが年次を超えて効果を持つことを確認した。 以上の成果を論文としてまとめ、投稿した。
また、生態型の異なる系統間の交配試験により、成熟期の早晩性はある日長条件下での結実の可否・速度に依存する可能性が示された。そこで、長日条件で夏型(早生)・秋型(晩生)系統の全遺伝子発現量をRNA-seqにより比較したところ、シロイヌナズナで報告されている日長応答の開花遺伝子・時計遺伝子のホモログの他に、機能未知の発現変動遺伝子が検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
夏型化(早生化)および秋型化(晩生化)に関わるQTLを検出し、その連鎖マーカーを開発し、検出したQTLが年次を超えて効果を持つことを確認し、これらの成果を論文としてまとめ投稿することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
検出したQTLの狭域化を行い、原因候補遺伝子を選定する。 また、成熟期の早晩性は、ある日長条件下での結実の可否・速度に依存する可能性が示されたため、生態型が異なる系統間での授粉~胚発育までの経時的な遺伝子発現の推移を確認し、日長に応答した結実の可否に関わる遺伝子群を検出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の会計担当が不在となり、試薬の購入ができなかったため。 該当試薬は速やかに購入する。
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