研究課題/領域番号 |
21K14843
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
屋比久 貴之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (20824270)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 光合成 / 分光反射率 / 多変量回帰 / 水稲 / リモートセンシング |
研究実績の概要 |
令和3年度においては窒素に関して3施肥条件下で栽培した水稲3品種の光合成特性およびそれに関わる生理・形態学的特性を調査するための試験設計を行い、試験圃場の準備・栽培を進めていたが、新型コロナウイルスの影響等により本研究において重要な分光学機器の納入が大幅に遅れたため、水稲栽培期間中の試験を行う事は断念せざるを得なかった。 その他として令和2年度までに行われた試験の解析を行い、水稲3品種の光合成-光応答曲線、1品種の光合成‐CO2応答曲線およびそれらと水稲の葉の表側の300nm~800nmの分光反射率との関係性について2年分のデータが得られた。それらの解析から、光合成‐光応答曲線における最大光合成速度、光合成‐CO2応答曲線における最大カルボキシル化速度および最大電子伝達速度に関しては、葉の表側の分光反射率と部分最小二乗法による多変量回帰を組み合わせることにより、一定精度での推定が可能であると考えられた。一方、光合成-光応答曲線における呼吸速度、量子収率および凸度の推定は困難であると考えられた。また光合成および分光反射計測に用いたものと同様のサンプルについて、光合成に関わる生理特性である窒素含量や比葉重の分析も行い、窒素含量に関しては分光反射率と多変量回帰の組み合わせによる推定が可能であると考えられた。現在、2年分の反復データについて統計解析などを進めており、成果の論文化に向けた取り組みを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスによる影響で本課題の根幹データを取得するための分光器の調達が大幅に遅れたため、研究進捗が遅れている。 一方、本研究課題に関連した過去データの解析を進めることにより、論文化等の成果公表の目処を立てることができ当初計画の進捗の遅れを幾分取り戻せている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は水稲複数品種について栽培し、光合成‐光・CO2応答曲線と葉の分光特性を取得する。光合成および分光特性の測定葉を用い、光合成に関連した生理形質および形態形質について取得する。取得した各形質を目的変数、分光特性を説明変数とした多変量回帰を実施し、分光反射特性から各形質値を取得するモデルの作成を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた試験を実施できなかった分、消耗品類の支出が無くなったために余剰が生じた。そのため次年度使用額分は令和4年度に持ち越しとなった消耗品類の購入に充てる。
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