研究課題/領域番号 |
21K14843
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
屋比久 貴之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (20824270)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イネ / 光合成 / 分光計測 / リモートセンシング / 多変量回帰モデル |
研究実績の概要 |
光合成やその関連形質の実測に多大な労力を要することは光合成能力に着目した作物育種を進めていく上でのボトルネックとなる。本研究では遠隔計測により取得した個葉の分光学的情報と多変量回帰モデルを駆使し、光合成およびその関連形質の簡易迅速かつ非破壊で推定する手法を開発する。 2023年度は年次反復を得るために前年度と同様の設計で試験を行った。具体的には対象形質の幅広い推定モデルを取得するため、東北地域で栽培される水稲4品種を対象に、施肥区について無窒素、標肥、多肥区を設けて栽培を行い、光合成測定および関連形質測定用のサンプリングを出穂期前後の7月下旬~8月後半、登熟期にあたる9月中旬の2期に行った。上位完全展開葉について光合成測定を行い、光-光合成応答曲線およびCO2-光合成応答曲線の作成を行った後、同じ葉の向軸側、背軸側の両面について、携帯型分光器により波長450~1000nmの分光反射・透過・吸光計測を行った。 光合成曲線のパラメータを目的変数、分光データを説明変数としたleave-one-out交差検証法による部分最小二乗(PLS)回帰モデルを作成し、テストデータによる検証を行うことで、一定精度でのパラメータ推定を可能とした。また、葉の向軸側と背軸側で得られる分光特性には差異があり、葉の向軸側、背軸側の片側だけではなく、両面の分光データを説明変数として用いることで幾分か推定精度が改善される可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R5年度は計画に則り、順調に年次反復データ収集が行えた一方で、初年度の新型コロナウイルスの影響による遅れを取り戻すには至っておらず、このような評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
複数年データを用いた解析を行い、光合成曲線のパラメータおよびそれらに関連した形質について、分光計測データによる推定モデルの開発を行う。また、PLS回帰モデル以外の多変量回帰モデルによる解析を行うほか、分光計測データに関して葉の両面の反射、吸収、透過のそれぞれを組み合わせることによる推定モデルの高精度化についても取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に新型コロナウイルスの影響により十分なデータ取得できなかったことに関連して当初計画に予定していた論文・学会発表等に至らなかったため。それに伴い、当初計画から1年間延長することとしたため、その期間中の諸経費として用いる。
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