研究実績の概要 |
本年度は解析材料の育成のため、大玉領域の遺伝子型がヘテロ型(+/-)の個体の自殖後代集団を2集団、各80個体を栽培し、りん茎(球)を収穫した。各々の集団において、各個体の大玉領域の遺伝子型を解析し、遺伝子型ごとに分類し、遺伝子型と球重の関連解析を行った。その結果、大玉アリルを持たないグループ(-/-)に対して、大玉アリルを一つでも持つグループ(+/-, +/+)は球重が有意に大きくなっており、大玉領域の効果を再確認できた。また、大玉アリルを一つでも持つグループ(+/-, +/+)は持たないグループ(-/-)に対して、展開葉数、最大葉身長が有意に増加しており、予想どおり地上部形質にも違いがあることが示唆された。地上部形質の違いがどの生育段階で生じるのか、より詳細に経時的な解析を行うため、解析材料を育成する。大玉アリルを持つグループ(+/+)と持たないグループ(-/-)の各々でグループ内での交配・集団採種を行い、各々のアリル型に固定した2集団を育成する。収穫した各グループのりん茎(球)を別々の採種用網室に定植し、集団採種の準備を進めた。尚、自殖ではなく集団採種とした理由は、遺伝的な固定度が高まると近交弱勢を生じる可能性が高くなり、それを防止するためである。また、タマネギは2年生作物であり、1年目にりん茎肥大し、2年目に開花、結実するため、来年度に集団採種し、再来年度に解析集団での形質調査を行う予定である。栽培試験・形質評価は実験圃場と人工気象室内の各々で行い、葉身の光合成速度などの地上部形質を調査する予定である。
|