本研究は,社会性昆虫におけるKing物質の同定に取り組み,候補成分の絞り込みに有用な化学的成分ピークについて,いくつかの候補を得ることに成功した.また,ワーカーの生殖虫分化における環境(周辺の無機的環境のほか,自分の周辺に存在する自分以外の他個体を含めた環境を想定)条件が生殖分化に与える影響についても新たな進展が見られた.これにより,昆虫社会におけるカースト分化のメカニズムに関する理解が深化し,昆虫生理学等の分野や社会性昆虫の適応戦略に関する新たな視点を提供できるものと思われる.また,糞中に含まれる高リグニン量の発見は,新たな接着素材の開発につながる可能性があり,工業分野での応用が期待される.
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