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2023 年度 実施状況報告書

オランウータンの再導入が野生個体群の持続可能性に与える影響の予測

研究課題

研究課題/領域番号 21K14867
研究機関大阪大学

研究代表者

田島 知之  大阪大学, COデザインセンター, 特任講師(常勤) (60817534)

研究期間 (年度) 2022-12-19 – 2025-03-31
キーワードオランウータン / 絶滅危惧種 / 遺伝的多様性 / 個体群存続可能性 / 繁殖システム / 父性解析 / リハビリテーション
研究実績の概要

絶滅の危機に瀕する野生動物の保全対策として他個体群からの再導入が行われる。大型類人猿であるオランウータンはIUCNの定める近絶滅種であり、リハビリテーションセンターの保護個体を野生生息地へ再導入する野生復帰事業が各地で実施されてきた。外部との遺伝的交流の限られたリハビリテーションセンターでは遺伝的多様性の低下が懸念されており、再導入が野生個体群の長期的持続可能性に与える影響は明らかではない。
本研究の目的は、オランウータンの繁殖システムを考慮したモデルを用いて、再導入が野生個体群の持続可能性に与える長期的影響を予測し、オランウータンの野生復帰事業の改善へ貢献することである。令和5年度はマレーシアへ渡航してダナムバレイ自然保護区とセピロク・オランウータン・リハビリテーションセンターでフィールド調査を行った。また野生個体群における繁殖システムを解明するため、マイクロサテライト15座位を用いて父子判定を行い、何頭のオスが繁殖に成功しているのかを明らかにした。これらの成果に基づいて、マレーシアで開催された第29回国際霊長類学会大会で口頭発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和4年度は在外研究のため、本課題を一時的に中断したが令和5年度に再開した。マレーシアにおいてフィールド調査を行い、野生個体群および半野生個体群の繁殖データおよび遺伝子試料を採取した。これらのデータを整理した上で、2つの個体群の遺伝的多様性の比較と個体群存続可能性分析に取り掛かることができている。

今後の研究の推進方策

これまでに集めた遺伝的データをもとに2つの個体群の遺伝的多様性を比較する。また、2つの個体群で収集したオランウータンの人口統計学的データと繁殖データを整理し、シミュレーションモデルVORTEX10を用いて将来の個体群存続可能性の予測を行う。その結果を日本霊長類学会などで発表して議論した上で、学術論文を投稿予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初2回のマレーシア渡航を計画していたが、進捗により1回で充分と判断して計画を変更した。次年度にはデータ解析に必要なアルバイトを雇用する人件費と、成果発表のための学会参加費および旅費として使用予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] チューリッヒ大学(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      チューリッヒ大学
  • [国際共同研究] マレーシア国立サバ大学/サバ州野生生物局(マレーシア)

    • 国名
      マレーシア
    • 外国機関名
      マレーシア国立サバ大学/サバ州野生生物局
  • [国際共同研究] ライデン大学(オランダ)

    • 国名
      オランダ
    • 外国機関名
      ライデン大学
  • [国際共同研究] マックスプランク研究所(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      マックスプランク研究所
  • [雑誌論文] Revisiting the baby schema by a geometric morphometric analysis of infant facial characteristics across great apes2023

    • 著者名/発表者名
      Kawaguchi Yuri、Nakamura Koyo、Tajima Tomoyuki、Waller Bridget M.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41598-023-31731-4

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 野生の仮面-社会的相互作用によって変化するオランウータンの顔2023

    • 著者名/発表者名
      田島知之
    • 学会等名
      第7回公開シンポジウム「トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築」
    • 招待講演
  • [学会発表] 野生の仮面-オランウータンのオスにおけるフランジ発達中のホルモン動態2023

    • 著者名/発表者名
      田島知之、義村弘仁、黒鳥英俊、木下こづえ
    • 学会等名
      第39回日本霊長類学会大会
  • [学会発表] 霊長類学における「分かちあい」2023

    • 著者名/発表者名
      田島知之
    • 学会等名
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「分かちあいの起原」研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Male Reproductive Success in wild Bornean Orangutans in Primary Dipterocarp Forest: Implication of the Influence of Mast-fruiting on male reproductive skew2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Tajima、Noko Kuze、Tomoko Kanamori、Takumi Tsutaya、Mendonca Renata S、Saika Yamazaki、Bernard Henry、Kumar Vijay S、Natasha Arora、Michael Kruetzen、Eiji Inoue、Miho Inoue-Murayama
    • 学会等名
      The 29th Congress of International Primatological Society
    • 国際学会
  • [図書] 霊長類学の百科事典2023

    • 著者名/発表者名
      日本霊長類学会(「食物分配」を田島知之が執筆)
    • 総ページ数
      716
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621308042
  • [図書] フィールドプラス No.282023

    • 著者名/発表者名
      田島知之
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      東京外国語大学出版会
  • [備考] NPO日本オランウータンリサーチセンター

    • URL

      https://www.orangutan-research.jp/work.html

  • [備考] Tomoyuki Tajima's website

    • URL

      https://sites.google.com/view/tomoyuki-tajima

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公開日: 2024-12-25  

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