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2021 年度 実施状況報告書

人口減少時代の都市高温化緩和に資する低未利用地の保全・整備優先度評価に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K14873
研究機関大阪府立大学

研究代表者

松尾 薫  大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (60815926)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード都市高温化 / 土地利用 / 緑地 / WRF / GIS
研究実績の概要

今年度はメソ気象モデルWRF を用いて堺市の現状の気候と、堺市緑の基本計画の緑の将来像図を参考とした緑地環境の保全・整備のシナリオ(以下、緑地シナリオ)での気候分析を行い、それぞれの気候分析地図を作成することで緑地環境のあり方を検討した。
(1)気温観測データの入手及び分析:堺市の小学校34校の百葉箱に温度センサーを設置し、夏季気温の多点同時観測調査を行った。次に、夏季晴天日データを抽出しその気温分布結果を地図化した。また主成分分析及びクラスター分析を行い、観測データを4つの気候特性グループに分類することができた。
(2)メソ気象モデルWRFによる現状の気候分析及び気候分析地図の作成:メソ気象モデルWRFを用いて夏季の現状の気温分布を再現した。この結果と(1)の結果を比較し、精度検証を行ったところ、傾向は概ね変わらないことがわかった。さらに最高・最低気温、最高・最低気温時の風速、代表して8月17日の14時・5時の風向を用いて昼夜間別に気候分析地図を作成した。
(3)緑地シナリオの作成:国土数値情報の土地利用データを用いて、現状で「都市」に分類されているメッシュを「混合林」や「灌漑農地」に変更することで作成した。変更したメッシュは堺市の緑の将来像図の「緑の骨格」「身近なまちの緑」で位置づけられた緑地である。
(4)緑地シナリオの気候分析及び気候分析地図の作成:(2)との比較から、まず昼間の気温分布は沿岸部で低く、内陸部で高いという傾向は現状と同じであった。一方、海風の影響を受けやすい沿岸部では「緑の骨格」による気温の大きな変化はないが、内陸部では低温域が増加する傾向が見られた。風分布は、風向は現状と同様の傾向であるが、沿岸部、内陸部ともに風速が強い。夜間の気温は現状と比べて市全体で低く、南部では低温域が現状よりも拡大しており、緑地からの冷気流の影響が現状よりも強くなることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた、「気温観測データの入手及び分析」、「主要な形成要因(海風)が気温分布に影響を及ぼすメカニズム解明及び風のゾーニング」に向けた観測データのグルーピング、「都市環境気候図作成」に向けた気候分析地図の作成を実施することができたため、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は、本年度得た観測データとメソ気象モデルWRFの結果を用いて、(1)「主要な形成要因(海風)が気温分布に影響を及ぼすメカニズム解明及び風のゾーニング」、および、(2)「都市環境気候図の作成」を実施する予定である。
(1)については、2021年の夏季気温分布調査結果より、沿岸都市である堺市でも海風が気温分布に影響することが推察された。そこで今年度行った数値解析結果を用いて、海風が気温分布に影響を及ぼすメカニズムの解明を行い、その結果を用いて風のゾーニングを行う。具体的には、メソ気象モデルWRFによる数値解析を行い、気温分布を再現し、さらにその結果を用いて顕熱移流量を算出し、顕熱収支構造分析を行い、海風による気温緩和効果を把握する。(2)については、本年度の結果をもとに都市気候特性ゾーニングマップ及びゾーン毎の都市気候特性を把握する。ゾーニングでは、例えば「海風の影響が異なる沿岸部と内陸部」「蒸散効果の異なる緑地の多い緑地エリアと少ないエリア」「人工排熱が異なる高層建物エリアと低層建物エリア」等が予想され、それぞれにおける都市高温化の発生及びその緩和要因(メカニズム)を解明する。さらに、ゾーンごとに都市高温化緩和に資する低未利用地の効果を評価する。

次年度使用額が生じた理由

観測調査の回数が、当初予定していたものから減ったためであり、次年度、今年度の分も含め、実施する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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