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2023 年度 実施状況報告書

生物多様性が森林の経済価値を高めることを実証する

研究課題

研究課題/領域番号 21K14880
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

辰巳 晋一  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40773437)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード生物多様性 / 生態系機能 / 森林管理 / 木材生産
研究実績の概要

生物多様性と木材生産性の関係を調べるために、樹木多様性実験地(樹木の種数を操作した野外実験)のデータを解析した。木材生産を考える上で重要な二つのパラメータである樹木の個体密度(単位面積当たり生産可能な丸太本数の指標)と樹木の個体平均サイズ(生産される丸太の太さ)に着目し、樹木の種数と両パラメータの関係を調べた。単植林分と比べて混植林分では、林分の発達初期において個体平均サイズが大きくなり、発達後期において個体密度が高くなる傾向が検出された(Tatsumi & Loreau, 2023)。この成果は、多種からなる林分において密度管理計画を立てる際に役立つと期待される。
林業における労働生産性を高める上で、森林資源量の迅速な測定は重要な課題である。そこで、LiDARセンサーが搭載された携帯端末を使って樹木の幹直径と位置座標をリアルタイムで測定するアプリを開発した。野外での精度検証の結果、同アプリは従来手法と比べて遜色ない測定精度を示し、また、野外調査にかかる人工(労働人数×労働時間)は従来手法の25%以下であった(Tatsumi et al., 2023)。この成果は、森林において比較的安価に素早く資源量を把握することに寄与すると思われる。
群集を構成する種数が多いほど、環境変動に対して異なる応答を示す種が含まれる可能性(応答多様性)が高いため、様々な環境において安定的な一次生産性を示すと期待される。このことを、Lotka-Volterraモデルを基本とした理論モデルを使って検証した。また、室内ポット植栽実験を行い、応答多様性と環境変動のタイプ数の関係を調べた。研究成果は、個体群生態学会大会にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

森林における生物多様性と木材生産性の関係についての研究成果が得られた。森林資源量を測定するためのツールを開発できた。

今後の研究の推進方策

森林モニタリングデータを使って樹木多様性と森林の生産性および経済性の関係を解析する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた学会の参加を一部取りやめたため。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] トロント大学(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      トロント大学
  • [国際共同研究] フランス国立科学研究センター(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      フランス国立科学研究センター
  • [雑誌論文] ForestScanner: A mobile application for measuring and mapping trees with <scp>LiDAR</scp>‐equipped <scp>iPhone</scp> and <scp>iPad</scp>2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsumi Shinichi、Yamaguchi Keiji、Furuya Naoyuki
    • 雑誌名

      Methods in Ecology and Evolution

      巻: 14 ページ: 1603~1609

    • DOI

      10.1111/2041-210X.13900

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Partitioning the biodiversity effects on productivity into density and size components2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsumi Shinichi、Loreau Michel
    • 雑誌名

      Ecology Letters

      巻: 26 ページ: 1963~1973

    • DOI

      10.1111/ele.14300

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 応答多様性による生態系機能の緩衝効果:環境変動と一次生産性の関係2023

    • 著者名/発表者名
      辰巳晋一, Punwasi N, Roberto A, Cadotte MW
    • 学会等名
      個体群生態学会 第39回大会

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公開日: 2024-12-25  

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