| 研究課題/領域番号 |
21K14892
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| 研究機関 | 秋田県立大学 |
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研究代表者 |
工藤 佳世 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 助教 (10757983)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 孔圏道管 / 広葉樹環孔材 |
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| 研究実績の概要 |
広葉樹環孔材の孔圏道管サイズ（＝内腔面積）は、環孔材樹種の水利用特性を決定する要因であると同時に材質指標である容積密度を決定する重要な要因である。従って、道管サイズの制御要因の理解は、広葉樹資源の管理と利用において必要不可欠な知見である。道管サイズは、植物ホルモンのオーキシンの量で制御されるという仮説が提唱されているが、未だ道管サイズの制御機構は明らかではない。本研究では、広葉樹環孔材における孔圏道管サイズと植物ホルモンの量との関係性の解明を目的とした。令和3年度は、1）自然条件下における孔圏道管の形成過程のモニタリング、および2）休眠期樹幹に対する局所的加温処理が孔圏道管サイズに与える影響の評価、を実施した。
1）自然条件下における孔圏道管形成過程のモニタリング
孔圏道管の形成過程および形成期間を明らかにするため、孔圏道管の列数が異なるハリギリおよびコナラ成木を対象に、打ち抜き法を用いて孔圏道管の形成過程のモニタリングを行った。その結果、秋田市における孔圏形成期間は、ハリギリでは3月下旬～5月下旬、コナラでは3月下旬～6月中旬であった。これらの結果から同所的に生育していても樹種によって、道管のサイズの急激な変化が起こる時期が異なることが明らかになった。
2）休眠期樹幹に対する局所的加温処理が孔圏道管サイズに与える影響の評価
人為的に孔圏道管のサイズを変化させる条件の確立を目指し、休眠期コナラ樹幹への局所的加温処理が孔圏道管形成に与える影響を解析した。加温処理によって局所的に早期に孔圏道管形成が誘導され、自然条件下で形成された孔圏道管と比べ、内腔面積が小さい孔圏道管が形成された。これらの結果から、局所的加温処理により、人為的な孔圏道管のサイズ変化を誘導できることが分かった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、自然条件下および実験条件下で形成された孔圏道管の組織構造解析と形成中の植物ホルモンの定量を行う。令和3年度は、出張等を調整できず植物ホルモンの解析に遅れが出た。そこで、令和3年度は、組織構造の解析に重点を置き、次年度以降に予定していた一部の組織構造観察を先に進めた。その結果、自然条件下での孔圏道管形成時期を特定し、人為的に孔圏道管サイズを変化させる条件の検討を進めることができた。これらは次年度以降の試料採取や誘導実験に必要不可欠な知見である。
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| 今後の研究の推進方策 |
植物ホルモン量の定量に重点を置き、自然条件下および局所的加温処理下での孔圏道管形成期の植物ホルモン量の変化を明らかにすることを目指す。令和3年度の組織構造観察の結果を基に試料採取時期を検討し、自然条件下での孔圏道管形成のモニタリングを継続する。また、局所的加温処理を行い、植物ホルモン定量用の試料採取を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
植物ホルモンの定量の本格的な実施を次年度以降に変更した。令和3年度に実施予定であった解析も加え、次年度では植物ホルモンの定量を進める予定である。その解析にかかる消耗品等の物品費および旅費を次年度に使用する。
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