研究課題/領域番号 |
21K14893
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
高梨 隆也 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場, 研究主任 (80733112)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 荷重継続時間 / Duration of load / CLT / 集成材 / 生存時間分析 |
研究実績の概要 |
前年度に製作した、カラマツラミナを用いた無垢材、水性高分子‐イソシアネート系接着剤 (API)を用いたフィンガージョイント材、レゾルシノール樹脂接着剤 (PRF)を用いたフィンガージョイント材、APIを用いて積層接着した3プライ集成材、APIを用いて積層接着した3層3プライCLTを用いて長期曲げ荷重試験を行った。荷重レベルは90%、80%、70%の3レベルとし、荷重継続時間の測定を行った。おおむね試験が終了した荷重レベル90%および80%の結果をもとに検討を行い、集成材試験体の荷重継続時間が長くなる傾向および、80%載荷においてAPI接着フィンガージョイント材よりPRF接着フィンガージョイント材の方が荷重継続時間が長くなる傾向が得られた。また、API接着フィンガージョイント材では荷重継続時間が長くなるにつれて破壊頻度が高くなる傾向がみられた。これらの結果をまとめ学会発表を行った。また、カラマツLVLおよびそれをフランジとした木質Iビームでの長期曲げ荷重試験の既存データを解析した。これは荷重レベルを90%、80%、75%として実施した試験であり、荷重レベルと荷重継続時間の関係から回帰した長期強度の予測値はLVLおよびIビームでほぼ同等の値となったほか、生存曲線での評価でも両仕様の生存確率の差は有意ではなかったことが分かった。これにより、木質接着材料においてはその破壊を規定する構成要素 (エレメント)の長期荷重特性が材料全体の長期荷重特性となり、エレメントでの長期荷重試験から材料の長期荷重特性を評価できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
製作した試験体で順次長期荷重試験を実施し、予定していた3つの荷重レベルのうち2つでほぼ試験が終了し、残り1レベルでもほぼすてべての試験体で載荷を開始している。これについては途中経過時点で研究発表を行った。また、荷重継続時間に関する既存データで分析を行い、長期強度の評価手法について検討を進めた。以上のことから、研究全体としておおむね順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
長期荷重試験の残りの試験体について順次試験を行う。3つの荷重レベルでの荷重継続時間が得られた段階で、試験体仕様と荷重継続時間の関係について定量的な評価を行い、木質構造部材の構成要素に応じた体系的な長期材料強度特性を整理し、学会発表を行う。また、評価を実施したLVLとIビームの長期荷重特性について結果をまとめ国際学会にて発表を行う。以上により得られた結果を整理し、木質構造部材の長期強度の予測手法を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試験が順調に進行し、試験補助として想定していた人員の必要性が薄れたこと、および物価高により物品の購入費が高騰していることから、人件費として想定していた金額を次年度分も含めた物品費および旅費とすることとした。また、申請時に想定していた国際学会の開催年が1年後ろ倒しとなったため、その旅費として想定していた金額分を次年度に使用することとした。以上に対する相当金額を次年度使用分とし、旅費および物品費として使用する。
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