カラマツ製材を用いて製作した、製材、水性高分子イソシアネート系接着剤(API)により接着したフィンガージョイント材、レゾルシノール樹脂接着剤(PRF)により接着したフィンガージョイント材、APIを用いて積層接着した3プライ集成材、APIを用いて積層接着した3層3プライCLTを用いて、前年度から引き続き長期曲げ荷重試験を実施した。設定した荷重レベルは短期破壊荷重の90%、80%、70%の3レベルであり、すべての試験体の載荷が完了した。得られた荷重継続時間について、集成材試験体の荷重継続時間が長くなることがみられたほか、API接着フィンガージョイント試験体の荷重継続時間が比較的短くなることがみられた。製材試験体のハザード関数(瞬間破壊確率)を比較対象として、他の試験体のハザード関数の評価を行い、PRF接着フィンガージョイント試験体および集成材試験体のハザード関数が製材試験体よりも小さくなる結果が得られた。すなわち、集成材およびPRF接着フィンガージョイント試験体の荷重継続時間が長くなるという評価結果が得られた。したがって、節や目切れなどの製材としての欠点や、一部の接着剤でのフィンガージョイント部が木質構造材料の長期材料強度を決定する要素となりうることが示された。前年度までの検討で得られていた、木質Iビームとその破壊要素となるLVLフランジの荷重継続時間特性に有意な差がみられなかったことも含めて結果を考察し、目的とする材料の瞬間破壊確率を標準となる材料と相対的に評価することにより、その荷重継続時間特性を評価できるという手法を提案するに至った。
|