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2021 年度 実施状況報告書

環境水を用いた非侵襲的な魚病検査手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 21K14901
研究機関愛媛大学

研究代表者

竹内 久登  愛媛大学, 南予水産研究センター, 特定研究員 (80802157)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード養殖 / 魚病 / 感染症対策 / マダイ / エドワジエラ症
研究実績の概要

昨今、養殖場では様々な魚病が頻発し、生産効率や商品価値を著しく低下させている。魚病被害抑制のためには、密な検査により魚病発生を早期に探知し、発生拡大の前に封じ込め・治療を行うことが不可欠であるが、現行の検査方法は取り上げや解剖による魚体へのダメージから養殖業者に敬遠されている。そこで本研究では環境水をサンプルとした、魚体の取り上げを必要としない非侵襲的な魚病検査手法を確立することを目的とする。
本年度は、魚類の魚病感染時に魚体から放出される生体物質の分子生物学的解析を中心に行った。魚病細菌Edwardsiella anguillarumを人為感染させたマダイを水槽内で維持して経時的に飼育水を採取し、飼育水に含まれるマダイ由来RNAを網羅的に検出したところ、感染魚飼育水で複数のRNAが非感染魚飼育水に比べ有意に増加しており、これらが病原体感染に対するマダイの生体応答を反映したRNAであると考えられた。
そこでこれらのRNAを感染マーカー候補として選定し、定量PCR系による定量系を構築、飼育水中の発現量を測定したところ、対象としたいずれのRNAも感染魚飼育水中の発現量が非感染魚飼育水に比べ数十~数百倍高かった。さらに飼育試験中に経時的に取り上げたマダイ組織中のRNAマーカー発現量も測定したところ,飼育水中RNAと似た発現変化を示した。
以上の結果から、感染魚飼育水中には感染への応答履歴を示すRNAが放出されており、これらが感染を探知できる非侵襲検査マーカーとなる可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画に基づき、魚病細菌感染魚の飼育水に含まれるRNAの網羅的検出を行い、感染魚飼育水に特異的なRNAを特定した。また特定したRNAを対象とした定量PCR法による定量系を確立し、飼育水中・魚体中のRNA発現量を調べることで、飼育水中のRNAが魚体の感染状態変化を反映するマーカーとなる可能性を示した。
RNAの解析については当初の計画以上に進展したが、一方で飼育水中タンパク質の網羅的検出を目的としたプロテオーム解析についてはサンプルの最適な精製方法を検討中であり、解析には至っていないため、全体的な進捗状況はやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

前年度に引き続き、確立したRNAマーカー定量系の妥当性を検討する。養殖環境の季節変化を想定して複数の水温環境下でマダイの感染試験を行い、飼育水中のRNAマーカーを定量して魚体の感染状態との関連性の評価を行う。
また、飼育水中タンパク質の精製方法の検討およびプロテオーム解析も実施する。なお、プロテオーム解析解析に供試できる精度のタンパク質精製が困難であると判断した場合は、RNA解析で推定されたタンパク質を標的とし、免疫学的手法による飼育水中タンパク質検出法の開発を推進する。

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公開日: 2022-12-28  

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