研究実績の概要 |
2022年度においては、①申請者が現場海域より単離した繊毛虫Euplotes vannus株の維持管理、②昨年度実施した浮遊性カイアシ類3種に給餌させる飼育実験の分析・解析を行い、学会での報告、国際雑誌への論文の準備・投稿を実施した。 ①相模湾より単離された繊毛虫Euplotes vannus株の維持条件として、水温と 餌料藻類の検討を行った。その結果、水温20度程度が良好な増殖が見られた。また、クリプト藻Rhodomonas salinaを給餌した条件で良好な増殖が見られ、これらの条件で維持培養を1年行った。 ②繊毛虫を、浮遊性カイアシ類3種(Acartia steueri, Oithona oculata, Pseudodiaptomus nihonkaiensis)に給餌する実験区、微細藻類を給餌する対象区を設けて飼育実験を行った。それぞれのカイアシ類雌個体と卵の炭素量を測定し、Specific egg production rate(SEPR)を求めた。AcartiaとPseusodiaptomusに比べて、Oithonaは比較的高いSEPRを示した。また、得られたSEPRは既往研究の藻類餌料を給餌した際の値と同等であったため、本種は繊毛虫を餌とした培養系に適すると考えられた。これらの解析結果を国内学会で発表し、国際雑誌にて発表するため原稿を執筆中である。また、好適餌料藻類に関する実験結果を2篇の論文にまとめ、国際雑誌に投稿し、2篇が受理掲載された。 また、食品廃棄物を使った繊毛虫の培養を行った。 また、食品廃棄物→繊毛虫→カイアシ類の三段階の培養を想定していたが、追加実験の結果、新たな展開として、食品廃棄物→カイアシ類の可能性が見出されたため、より簡略的なプロセスとして期待されるため、継続して実験・開発を行なっている。
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