研究課題/領域番号 |
21K14907
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
三好 晃治 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 水産研究本部 中央水産試験場, 主査 (70649623)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ヒトデ類 / ホタテガイ / 捕食ー被食関係 / 種間競争 / 海底画像 |
研究実績の概要 |
①ヒトデ類の捕食生態における競合性の解明:同所に存在するヒトデ2種の捕食生態における競合性がホタテガイの生存率に与える影響を解明するため、飼育環境下において捕食試験を行った。1トン円形水槽内において両種の行動を観察したところ、単独ではニッポンヒトデの方がホタテガイを捕食するが、同居するとマヒトデとの捕食枚数の差はなくなることが判明した。また、マヒトデの捕食枚数は単独と同居で差はないが、ニッポンヒトデの捕食枚数は30-50 mm級で最大80%低下した。このため、マヒトデの捕食枚数は競合するヒトデ類が存在しても影響を受けない可能性があり、ニッポンヒトデはマヒトデが同居することでホタテガイに対する捕食能力は低下する可能性を示唆した。現在も水温変化を加え、当該試験を継続しており、試行回数を増やすことでその確証を得たいと考えている。また、30L円形水槽内において様々な底質環境を想定した捕食試験を実施中であり、説明変数に底質環境やホタテガイ・ヒトデ類の密度の変化を加えることで、同所に存在するヒトデ2種の競合性の発生条件をより詳細に解明する予定である。 ②ヒトデ類の分布様式の解明:ホタテガイ放流海域および天然生息海域におけるヒトデ2種間の個体群動態を把握するため、海底画像撮影による密度調査を網走および紋別海域で実施した。現在、ヒトデ類2種とホタテガイの密度および分布特性について解析中である。 ③ヒトデ類による捕食被害アルゴリズムの構築:上記①および②の結果を統合して、R5年度以降実施予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①ヒトデ類の捕食生態における競合性の解明:R3年度は飼育環境下における捕食試験に供するマヒトデのサンプルが十分量確保できなかったため試験計画60%程度で終了した。そのため、R3年度までのデータの再解析に加え、R4~R5年度の実験計画を一部修正し完遂を目指すこととした。 ②ヒトデ類の分布様式の解明:R3年度は2海域の海底画像撮影調査を行うことができたが、予定していた1海域の調査が行えなかった(別調査との調査期間重複のため)。そこで、R3年度までのデータの再解析に加え、R4年度の調査量を一部増やすことで対応することとした。
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今後の研究の推進方策 |
上記、研究項目①、②の進捗にやや遅れがあるが、R4~R5年度の試験計画を一部修正することで対応可能である。今後、研究項目①、②を統合することで行う研究項目③に向け、飼育試験および海底画像撮影調査を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
R3年度は予定していた研究項目①の飼育用の生物標本の採集が一部出来なかったことに加え、研究項目②の海底画像撮影調査も予定海域のうち1つが実施できなかったため、飼育試験用の物品費および採集・撮影調査のための旅費は次年度へ繰り越す。なお、これら研究項目は、R4年度以降も継続実施する研究課題である。
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