二枚貝類の成熟段階の評価方法として、従来は生殖巣の切片観察による定性的な方法が用いられているが、本課題では卵成熟過程に着目して新規の分子指標を探索することで、定量的な指標の導入を検討した。大型二枚貝類タイラギを用いた人工受精の成績に基づいて卵の成熟段階を分類し、各成熟段階で異なる発現量を示す遺伝子およびタンパク質を調べたところ、複数の分子が発現変動することが明らかになった。特に、ミトコンドリア型アルデヒド脱水素酵素と26Sプロテアソームという2つの分子が卵成熟の進行に伴って発現量が増加する傾向が示され、成熟段階を評価する新規指標として有力である可能性が示された。
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