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2021 年度 実施状況報告書

ゲルマイクロドロップレットによる難培養微生物の培養と抗がん化合物の探索

研究課題

研究課題/領域番号 21K14953
研究機関三重大学

研究代表者

市川 俊輔  三重大学, 教育学部, 准教授 (50781118)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード土壌微生物 / Water in oil ドロップレット / ゲルマイクロドロップレット
研究実績の概要

1gの土壌中には多様な細菌が存在している。一方で、これら微生物のほとんどは固体培地上でコロニー形成せず、これまで単離され生理活性が評価されている細菌は1%程度しかない。また、これまで生理活性を示す化合物は土壌中から単離された放線菌より見出されることが多かったが、純粋培養条件では多くの二次代謝産物生産遺伝子群は発現せず未探索な機能が多く残されていることが分かっている。多くの細菌は増殖が遅く、また他の微生物由来の化合物を要求するために、培養することが難しい。本研究では新規微生物機能を探索するために、土壌細菌の複合培養を試みる。ドロップレットへの微生物包埋と複合培養は、微生物間の化合物相互作用を維持しながら、液体培地中で多種の細菌を分離培養できるために、難培養微生物を培養するための方法として期待されている。
土壌微生物を液体培地に懸濁し、Water in oilドロップレットに包埋した。13日培養した時点のドロップレット内での微生物増殖状況を評価した。微生物増殖は、微生物から分泌されるRNaseの活性を蛍光として検出する系(FNAP-sort)により評価した。約60日間の長期培養にもかかわらず、微生物を包埋していないドロップレットでのRNAプローブの分解はほとんどなかった。一方で、微生物を包埋したドロップレットでは蛍光を生じる割合が有意に向上しており、微生物が増殖していることを確認できた。同様に、Gel microdroplet (GMD)での微生物包埋と培養を行った場合でも、ドロップレット内での微生物の増殖を確認できた。以上の通り、土壌微生物のマイクロドロップレットへの包埋と長期培養、微生物増殖の検出系を確立することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

土壌微生物をマイクロドロップレットに包埋するためには、マイクロ流路中に土壌粒子が入らないようにする必要があるが、適切な方法を検討することでこの点を克服することができた。また、微生物をマイクロドロップレット内で長期にわたり培養する必要があったが、その間マイクロドロップレットやRNAプローブを安定に保持できることを確認できた。菌叢解析を行うことで、特にWater in oilドロップレットを用いた場合、多様性を保持した複合微生物培養液を調製できることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

マイクロドロップレットを用いた土壌微生物の長期間での複合培養が可能であることが明らかとなった。続いて培養条件を検討することにより、難培養微生物培養における効果を検証する。加えて、in vitro, in vivo スクリーニングを行うことによって、生理活性を持つ複合微生物培養液を取得する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The expression of alternative sigma-I7 factor induces the transcription of cellulosomal genes in the cellulolytic bacterium Clostridium thermocellum2022

    • 著者名/発表者名
      Ichikawa Shunsuke、Ito Daisuke、Asaoka Sayuri、Abe Reimi、Katsuo Norito、Ito Toshiyuki、Ito Daichi、Karita Shuichi
    • 雑誌名

      Enzyme and Microbial Technology

      巻: 156 ページ: 110002~110002

    • DOI

      10.1016/j.enzmictec.2022.110002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 科学的リテラシーの育成を目指すカフェインを題材とした家庭科授業の実践2022

    • 著者名/発表者名
      中西理紗、平島円、荻原彰、市川俊輔、村田晋太朗、後藤太一郎、磯部由香
    • 雑誌名

      三重大学教育学部研究紀要

      巻: 73 ページ: 383-391

    • オープンアクセス
  • [学会発表] マイクロドロップレットを用いた土壌微生物複合培養とその菌叢解析2022

    • 著者名/発表者名
      市川 俊輔、本間 宣行、勝尾 徳斗、石毛 真行
    • 学会等名
      日本農芸化学会
  • [学会発表] ウシ胎児血清成分によるBacillus属細菌の抗がん活性誘導とRNA-seq解析2022

    • 著者名/発表者名
      市川 俊輔、勝尾 徳斗、岡﨑 文美、中山 寛子、西村 訓弘、島田 康人
    • 学会等名
      日本農芸化学会
  • [学会発表] 大腸菌クローン集団中のUV耐性細胞の存在とそのUV殺菌条件の確立2022

    • 著者名/発表者名
      市川 俊輔、岡﨑 美香、岡村 実奈、西村 訓弘、三宅 秀人
    • 学会等名
      日本水環境学会
  • [学会発表] 大腸菌クローン集団中に存在する希少なUV耐性細胞2021

    • 著者名/発表者名
      市川 俊輔、岡﨑 美香、岡村 実奈、三宅 秀人
    • 学会等名
      日本分子生物学会
  • [学会発表] Cellulose degradation mechanism of a cellulolytic bacterium Clostridium thermocellum2021

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Ichikawa
    • 学会等名
      International Conference on Bioresource Technology for Bioenergy, Bioproducts & Environmental Sustainability
    • 国際学会
  • [学会発表] 三重県土壌由来Bacillus属細菌の抗がん活性とそのゲノム解析2021

    • 著者名/発表者名
      市川 俊輔、勝尾 徳斗、岡﨑 文美、中山 寛子、西村 訓弘、島田 康人
    • 学会等名
      生物工学若手研究者の集い夏のオンラインセミナー

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公開日: 2022-12-28  

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