• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

雑種の単一遺伝子型の蔓延は進化上のノイズなのか?―チガヤを用いた実証―

研究課題

研究課題/領域番号 21K14955
研究機関龍谷大学

研究代表者

野村 康之  龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70847722)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード集団クローン構造 / 集団遺伝構造 / 雑種形成 / 結実率 / チガヤ / ゲノム
研究実績の概要

チガヤは根茎による栄養繁殖を行う多年草である。チガヤには生育地や開花期が異なるC型およびE型のほかに、これらのF1が生育している。野外ではF1が蔓延する集団がある一方で、C型やE型と比べてF1は結実率が低い。チガヤが自家不和合であり、F1でも異なるクローンで人為交配をすると高い結実率を示すので、野外ではF1は無性生殖が卓越し、クローン多様性が2生態型よりも低いと予想される。
2022年度は、チガヤ2生態型のゲノムリファレンスの整備を目指して、2生態型のゲノムの塩基配列を取得した。これらのデータを用いて、ゲノムリファレンスの作成を行っている。今後も、これらのデータを利用可能な状態になるまで整備を続けていく。2021年度に引き続いて、RAD-Seqデータの解析に最適なパラメータ設定を模索した。当初の予定ではリファレンス配列を用いることを想定していたが、リファレンスがない状態でも集団構造解析に耐えうる数の遺伝的変異を取得できた。解析の結果、E型ではC型よりも小さなスケールでの集団間の遺伝的分化が大きく、C型には奄美大島以北/以南の遺伝的分化が認められた。これは2生態型が全く異なる集団分化の歴史を有していることを示唆している。また、F1は集団によって異なるクローンが存在していた。この結果から、F1は各集団で独立に生じてきたと考えられる。2生態型とF1のクローン多様性もRAD-Seqによって明らかにした。その結果、F1雑種はC型およびE型と比べ、クローン多様性が低い傾向にあることが明らかになった。2生態型はクローン多様性が高いほど結実率が高くなるという予想通りの結果が得られたが、チガヤは結実率のばらつきが大きく、結実率を規定する要因の探索は今後も行っていく必要がある。以上の結果は、2生態型およびF1が異なる遺伝的分化の歴史を有し、緑化などの利用の上ではこれらの考慮が必要と考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Drastic shift in flowering phenology of F1 hybrids causing rapid reproductive isolation in Imperata cylindrica in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Nomura Yasuyuki、Shimono Yoshiko、Mizuno Nobuyuki、Miyoshi Ikuya、Iwakami Satoshi、Sato Kazuhiro、Tominaga Tohru
    • 雑誌名

      Journal of Ecology

      巻: 110 ページ: 1548~1560

    • DOI

      10.1111/1365-2745.13890

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] チガヤ2生態型およびそのF1雑種のクローン多様度の比較2022

    • 著者名/発表者名
      野村康之, 永野惇, 冨永達
    • 学会等名
      第54回種生物学シンポジウム

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi