研究課題/領域番号 |
21K14956
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
山下 善道 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (30782057)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生分解性プラスチック / 熱溶解積層法 / 資源循環 / 堆肥化 / バイオマス |
研究実績の概要 |
農業用廃プラの国内滞留の問題は重要な課題であり、現在も土壌への還元を想定した生分解性プラスチックを利用した農業資材が検討されている。一方で、家畜ふん堆肥は消費地と離れていることが多く、農地還元には運搬コストがかかることが問題である。そこで、土壌への還元を想定し、堆肥を混合した新たな生分解性プラスチック資材を開発することができれば、堆肥資材の新たな運搬方法となり、同時に土壌へ還元した際に肥料として利用することができる可能性がある。 本研究は、畜産バイオマスを含有する農業用高生分解性プラスチック(堆肥混合バイオプラ)製品の製造法の探索を目的としており、2021年度は初年度として、プラスチックフィラメント製造機を用いて堆肥混合プラスチックフィラメントの製造試験を行うためのシステムを構築した。堆肥混合フィラメント製造時の冷却方法を検討した結果、製造時の肥料成分の溶出を防ぐため、水冷ではなく空冷での冷却とすることとし、冷却装置を作成した。プラスチックフィラメントは空冷冷却後、直径を計測されたのち、自動でリールに巻き取とられるようシステムを構築した。 堆肥混合プラスチックフィラメント製造試験のため、原料堆肥の前処理方法を検討した。本年度は副資材を含まない堆肥を対象とし、豚ぷん堆肥を選定した。フィラメント製造時には原料堆肥の物理的な形状が均一であることが必要なため、原料堆肥の堆肥の前処理としてミルによる粉砕処理を行った後、ふるい振とう機で分級することで堆肥混合用の原料とすることし、原料準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度はフィラメント製造機を準備し、堆肥を混合したプラスチックフィラメントを製造するシステムを構築し、製造試験を行う予定であった。しかしながら、COVID-19による物流の遅れ等により、フィラメント製造機の納品が12月となり当初の予定より約半年の遅れが生じた。また、本研究申請時に比べ通貨安が進行したことから、フィラメント製造機が高額となり採択金額との調整を行う必要が生じ、当初の予定とは異なるフィラメント製造機の周辺機器を準備することとした。このため、納入と動作確認までは進行し、フィラメント製造システムを構築したものの、年度内に堆肥混合プラスチックフィラメントの製造および試験片の評価まではいたらなかった。当初計画では、第2年度に副資材を含んだ堆肥を混合したプラスチックフィラメントを製造し物理特性と肥料成分溶出の試験を行う予定となっているが、フィラメント製造システムの試作が完了したため、対象とする堆肥と製造条件の検討が進めば物理特性等の試験に着手できることから、進捗状況の区分を(3)とした。
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今後の研究の推進方策 |
3年間の研究機関を通して、ひも状の製品の基となるフィラメントの機械的強度と、厚みのあるプラスチック製品にした際の機械的強度を明らかにする予定であるため、第2年度を通して熱溶解積層法と射出成型による試験片を作成する装置を構築する。 また、初年度から第2年度にかけては、PLA(ポリ乳酸)を対象に、堆肥を混合したプラスチックフィラメントを安定的に製造できる条件の検討を行うこととなっている。このため、第2年度前半では堆肥混合PLAフィラメントを安定製造できる条件を検討し、機械的強度の測定を行うと同時に、pHと温度を変えた水溶液で肥料成分の溶出試験を行い、電気伝導度を測定する。これに加え、第2年度後半では小型堆肥化装置でフィラメントの分解を行い、分解程度の異なる試験片の溶出試験を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
・通貨安のため当初予定していた備品(フィラメント製造機)が高額となり、同時に購入予定であった備品(フィラメント製造機の周辺機器)が購入できなくなったため別の資機材を選定したため。 ・当初、今年度実施予定であった、堆肥混合プラスチックフィラメントの製造試験による試験片の物理特性や肥料成分溶出特性等を試験する予定であったが、次年度行うことになったためその経費が次年度使用額となった。
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