研究課題/領域番号 |
21K14981
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
河原 円香 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 研究員 (80847559)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オルソブニヤウイルス / ブニヤウイルス / Oropouche virus / 核局在 / 細胞内局在 / 核蛋白質 / 人獣共通感染症 / アルボウイルス |
研究実績の概要 |
節足動物媒介性の人獣共通感染症ウイルスであるオルソブニヤウイルスの一種オロプーシュウイルス(OROV) は中南米でデング熱に次いで頻発する新興感染症であるが、病原性発現機構や作用機序に関する研究は十分ではない。一方申請者はOROVが既存の感染機構では報告されていない「核蛋白質(N)が感染細胞の核に集まる」様子を観察した。感染細胞で産生される主要な蛋白質であり、ウイルス感染に必要不可欠であるNの細胞内挙動を明らかにすることは、未だ病原性メカニズムが明らかではないOROVの新たな感染機構の解明につながると考えた。そこで本研究では「OROVのNが感染細胞の核に局在する」という新たな現象の解明を目的とした。 本年度は初めにOROV-N、NSsの核における共局在の確認を行った。蛍光蛋白質ベクターを用いてそれぞれの蛋白質を発現するプラスミドを作製し、細胞内の蛋白質の局在を蛍光顕微鏡で確認した。またNのアミノ酸配列について核小体局在シグナル予測解析、核外搬出シグナル予測解析を行い、シグナルの可能性がある部位を推定した。予測された部位を基にして欠失変異体プラスミドを数種類作製し、細胞内の蛋白質の局在を蛍光顕微鏡で確認した。その結果プラスミド発現蛋白質の挙動と感染細胞におけるNの挙動が若干異なることが判明した。そこで一旦発現蛋白質を用いた細胞内局在ではなくOROV感染によるNの挙動の詳細を明らかにすることに焦点を絞り、現在感染細胞を用いて経時的な局在の変動について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラスミド発現蛋白質と感染細胞のNの局在が異なった点については当初の予定と異なるものの、局在の経時的な変動についての詳細を得られている。また次年度の研究項目の実施には影響はない。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通りリバースジェネティクス法を用いて、Nの細胞内局在に関わると予測される部位の変異ウイルスを作製し、OROVの核局在に重要な部位の特定に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
プラスミド発現蛋白質と感染細胞のNの局在が異なったために、当初今年度に予定していた細胞内局在部位の解析の一部を次年度に行うこととした。
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