現在、猫伝染性腹膜炎(FIP)に対する治療法研究はFIPの原因となるネココロナウイルスに対する抗ウイルス薬開発が主である。しかし、FIPの病態の一つである強い炎症に対しては、対症療法として免疫抑制剤や抗炎症薬の投与が検討されているに過ぎない。本研究成果は獣医師がFIPの治療薬として抗TNF-alpha製剤を用いるために有用である。また、FIPだけでなく病態形成にTNF-alphaが関与するヒトのウイルス感染症も報告されている。TNF-alphaの抑制を目的としたFIPの治療法を確立すれば、これらのヒトにおけるウイルス性疾患に対する新しい治療法の開発に新たな方向性を見出すものと思われる。
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