本研究は、人工授精受胎率の良好な精子、すなわち高妊孕性精子の特徴を決定することを目的として、精子の運動性サブポピュレーションをはじめ、精子細胞機能と、人工授精受胎率との関係を解析した。 その結果、高受胎性精液中には、頭部を細かく頻繁に振動して直進する、凍結精液融解から時間が経過しても高いミトコンドリア活性を維持する、寿命の長い精子を多数含む一方、低受胎性精液は、頭部を大きく振動しながら曲線的に運動し、精液融解後の時間経過とともに細胞膜の完全性を維持できなくなる精子を多く含むことが明らかとなった。 本研究課題の遂行により、人工授精の実施無しに牛精液の受胎性予測を可能とする要因の一部を解明した。
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