研究課題
化学物質汚染による野生動物の中毒死は国際的な問題である。化学物質感受性には大きな動物種差があるため適切なリスク評価のためにはこの評価が必要がある。一方希少な野生動物での動物実験は禁忌である。そこで本研究では非侵襲的に入手できる遺伝子情報から化学物質感受性を評価する手法の構築を試みた。本研究では2021年に公開された遺伝子配列からタンパク質立体構造を高精度に予測する深層学習手法であるAlphaFold2を利用し、この予測立体構造と化学物質の結合シミュレーションにより化学物質の影響を評価した。モデルケースとして外来ネズミ対策のための殺鼠剤散布事業が実施されている小笠原諸島唯一の固有哺乳類であるオガサワラオオコウモリの殺鼠剤感受性評価を実施した。オガサワラオオコウモリは同じ作用機序を有する殺鼠剤ワルファリン・ダイファシノンに対しても異なる標的タンパク質の結合性を示す事が判明した。これは生体レベルでの感受性とも一致した傾向であり、高精度なタンパク質予測構造を用いた分子シミュレーションから化学物質感受性の種差を評価可能な事が示された。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
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