研究課題/領域番号 |
21K14990
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
三浦 亮太朗 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (60782133)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 牛 / 子宮 / 単核球 / 修復 / 免疫 / 繁殖成績 |
研究実績の概要 |
2021年度において、分娩後の子宮修復過程において、子宮内膜で炎症の指標となる多形核白血球(PMN)の低下時に単核球(MNC)が増加すること、さらにそのMNCがCD4+リンパ球であることを確認した。今年度はMNCの種類について詳細に評価するために、フローサイトメーターを行ったところ、MNCはCD4+リンパ球に加えて、CD8+リンパ球も出現していることが確認された。そのためこのMNCにはCD4+およびCD8+リンパ球がともに出現している可能性が示された。一方で、このMNCの出現する時期は個体ごとに異なることも観察されるため、これらのMNCの出現時期の早い遅いがその後の繁殖成績にどの程度影響を与えるのかを評価した。52頭のホルスタイン種泌乳牛において、分娩後2~8週の子宮内膜スメアをサイトブラシにより採取し、子宮内膜でのMNCの出現週を評価したところ、平均で5.7週、中央値で5.0週であった。そこで、5週以内にMNCが確認されたグループ(早期群)と6週以降にMNCが確認されたグループ(遅延群)に分類し、その後の繁殖成績を評価した。初回授精受胎率は、早期群11.8%、遅延群30.4%であった。また平均空胎日数は、早期群171日、遅延群183日であった。加えて、3回の授精で受胎しなかったリピートブリーダー牛の割合は早期群22.7%、遅延群43.5%であった。これらのことから、MNC出現の遅延は、その後の繁殖成績に影響を与える可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、分娩後の牛のサンプリングは計画通り進んでいること。また採取したサンプルの解析により、MNCがCD4+であることが再確認されている。さらに、MNCの出現のタイミングが、その後の繁殖成績に影響を与える可能性を示唆するデータ解析することができており、計画はおおむね順調に進行していると考えている
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今後の研究の推進方策 |
今後は、供試牛の頭数を増やし、MNCの増加の時期やそのパターンが個体ごとに異なるのか、または普遍的な動きをするのかを確認するとともに、MNCの増加が子宮内膜に対してどのような作用(炎症誘起、抗炎症、免疫寛容など)をもたらしているのか、還流液の上清中のサイトカイン測定、還流液中の細胞サンプルのリアルタイムPCRを行いmRNA発現を解析する。さらにMNCの出現時期とその後の繁殖成績との関連をさらに評価するために、繁殖成績を評価する牛の頭数を増やしていくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
採材に使用する器具および抗体等の試薬を購入予定であったが、2022年度は器具が十分に足りたため、次年度以降の試験のために購入するため、また、2023年度に国際学会に参加するため、繰越することにした。
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