腫瘍組織を含む様々なイヌ組織における組織因子 (TF) とトロンボモジュリン (TM) のmRNA発現量を調査した。良性腫瘍と上皮系および間葉系悪性腫瘍でTFやTM発現の差はなかった。脾臓悪性腫瘍では非腫瘤病変よりも腫瘤病変の方がTM発現が低い傾向があり,TM発現の減少により凝固亢進が形成されていると示唆された。 TFとTMの発現を調節しうる薬剤としてスタチンに着目し,イヌ血管肉腫細胞に対する作用をin vitroで検証した。その結果スタチンは細胞増殖を抑制するとともにTF発現を減少させ,TM発現を上昇させる作用を有することを示した。
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