研究課題/領域番号 |
21K15012
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
栗原 美寿々 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40763074)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 非膜オルガネラ / 近位ビオチンラベル |
研究実績の概要 |
近年、特定の立体構造を取らないタンパク質の天然変性ドメインが、微弱な分子間相互作用によって、核小体やPML bodyをはじめとした「非膜オルガネラ」の形成を制御しているのではないかという考え方が大きな注目を浴びている。非膜オルガネラの形成機構に関する情報が急速に蓄積しつつある一方で、これらの非膜オルガネラがどのようにしてその分子機能を発揮しているのかについての情報は、実は非常に限られているのが現状である。その大きな理由の一つが、天然変性ドメインが仲介する一つ一つの相互作用があまりにも微弱であるために、古典的な免疫沈降や生化学的な複合体精製などの手法ではその相互作用の対象となる分子の全容を明らかにすることができなかったという技術的な限界が挙げられる。本研究では、微弱かつ一過的な分子間相互作用でも高感度で検出することが可能な近位ビオチンラベル法を用い、代表的な非膜オルガネラであるPML bodyと相互作用する分子を明らかにする。昨年度はPML bodyの構造体に含まれる因子を同定するため、PML遺伝子座にAPEXを挿入した細胞株を用いて実験を行なったが、本細胞でのビオチン化効率が悪いことが判明した。そこで新たにPML-APEXを安定発現する細胞の作成を行い構造体因子の同定を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
APEXをPML遺伝子座にノックインした細胞株にてAPEX反応を行い、ビオチン化されたタンパク質をストレプトアビジンによってに濃縮したところ、ビオチン化されたタンパク質は回収されていたものの、非特異的に結合するタンパク質も多数検出された。この要因として、APEX-PMLタンパク質の発現が低いことが考えられた。そこで、ビオチン化効率を改善するため、新たにAPEX-PML-を安定発現する細胞の作成を行なった。
|
今後の研究の推進方策 |
APEX-PMLを安定発現する細胞に加え、PMLの変異体にAPEXを融合させたタンパク質を安定発現する細胞も用いてAPEX-MASS解析する。これにより、機能的ばPML bodyに含まれる構成成分を解き明かす。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度内に行うことを予定していた質量分析解析が細胞を再び作成することになって本年度中に実施できなかったため。
|