研究課題/領域番号 |
21K15024
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
福山 宥斗 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生命理工学センター), ポストドクトラル研究員 (70880813)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 微生物代謝 / 一酸化炭素 / 微生物分離 / オミクス解析 |
研究実績の概要 |
原子地球は酸素を含まない還元的な環境であり、一酸化炭素(CO)は原始大気に普遍的に存在すると考えられる。COは強い還元力を有し金属含有酵素と容易に結合することでその活性を阻害するため、多くの生物にとって有毒な無色無臭のガスとして知られる。一方で極一部の微生物(CO酸化菌)は、このCOをエネルギー・炭素源として利用可能であり、好熱嫌気性CO酸化菌は原始地球から現在に至るまで始原的なエネルギー保存様式を保存してきたと期待される。しかし、既知のCO酸化菌は分離に乏しく、系統的に限られる上にそのエネルギー代謝も理論的に存在が推定される仕組みの一部に留まる。これの原因は、原始地球でもあり得ない高濃度のCO雰囲気下の培養条件にあると仮説立てた。そこで、本研究は低濃度のCOを添加した集積培養系より分離株を獲得し、オミクス解析によりCO酸化を起点とする始原的かつ多様なエネルギー保存様式を明らかにすることを目的とする。本年度は研究基盤の構築のため、CO酸化菌の集積培養系構築に注力した。初めに、静岡県駿河湾沖、神奈川県相模湾沖、初島沖、群馬県草津温泉よりサンプリングを行い、採取した堆積物を播種源とした。気相CO10%及び異なる電子受容体 (硫酸塩・硝酸塩・炭酸) を加えた高温度・中温度帯に設定した培養系に接種し、中温度培養系より9つの集積培養系の構築に成功した。加えて、ガスクロマトグラフィー分析によって集積培養系の気相に含まれるCOを測定したところ、COの消費が確認された7つの集積培養系において、異なるCO代謝能を有する集積培養系の獲得に成功したと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内においても移動が制限される厳しい社会情勢ではあったものの、海底堆積物を中心とした複数個所での播種試料の採取に成功し、これらから異なるCO代謝能を有する集積培養系の構築に成功した。そのため、これらを用いた研究の発展が期待できる。一方で、CO酸化菌の純化にまでは至らずこの評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
構築した集積培養において、限界希釈法によって純粋培養株獲得する。得られた分離株に対して、詳細な気相分析やゲノム解析によって、そのCO代謝能を解明し、既知のCO代謝と比較することで始原的なエネルギー保存様式の洞察を得る。加えて、サンプリング地点の拡大や深海熱水域由来の堆積物を用いた集積培養系の構築を並行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
社会情勢を鑑み、予定していたサンプリング数を減少させた。そのため、サンプリングに必要な器具や実験用品の費用の一部を翌年度分として請求した。
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