当該タンパク質(CtBP2)と転写因子(FOXO1)の複合体構造解析の第一歩として、まずCtBP2単体の発現、構築、精製及び結晶化を行った。N末端にGSTタグ及びHRV 3C配列を付加したヒト由来CtBP2の大腸菌による大量発現に成功した。GSTアフィニティーカラムに吸着させた後、PreScission ProteaseでGSTを切断し、その後陰イオン交換カラム、ゲルろ過カラムで精製した。これを用いて結晶化スクリーニングを行ったが、良質な結晶は得られなかった。そこで、二次構造予測からN末端及びC末端付近のdisorder領域と推定された部分を除去したコンストラクトを用いて、同様の手順で発現、精製及び結晶化スクリーニングを行った。条件検討の結果,0.1 mm x 0.1 mm x 0.2 mmの単結晶を獲得した。得られた結晶を用いてX線回折実験を行い、PDB ID: 2OMEをモデルにした分子置換法によって構造を決定した。解析の結果、CtBP2は結晶中で四量体を形成しており、結晶化の際に加えていないのにも関わらずNADが結合していた。 CtBP2とFOXO1の複合体構造解析を行うため、完全長FOXO1の大腸菌による発現系の構築を試みたが、発現は認められなかった。そこで完全長配列ではなく、ペプチドベースでの複合体構造取得を目指し、検討中である。
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