研究課題/領域番号 |
21K15043
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
ジャーマニー エドワード 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 研究員 (00866767)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / βバレル |
研究実績の概要 |
βバレル型膜タンパク質は、グラム陰性菌、ミトコンドリア、葉緑体に存在する。このうち、グラム陰性菌とミトコンドリアのものには共通の局在化シグナルとしてβシグナルが存在することが報告されている。βシグナルは、タンパク質の最もC末端側に位置している。われわれは、グラム陰性菌の一種である大腸菌を用いた解析から、タンパク質の内部に存在する新規シグナルを同定した。また、配列解析からこのシグナルがミトコンドリアにも存在していることを確認したが、ミトコンドリアでの役割については全く解析されていない。そこで、本研究では、ミトコンドリアにおける新規シグナルの役割解明と、このシグナルを認識するミトコンドリアタンパク質輸送因子を同定することを試みている。 2年度目は、初年度に決定したミトコンドリアβバレルのシグナルを認識しアセンブリーを促進する因子の決定を目指した。具体的には、シグナル変異体をミトコンドリア内に送り込み、その際に相互作用するタンパク質の同定を目指した。輸送途上のタンパク質間相互作用は不安定なものが多いため、不安定なタンパク質間相互作用の補足が特異な部位特異的光架橋法を用いた。部位特異的光架橋法は、光架橋側鎖をもつ非天然アミノ酸であるBPAを目的タンパク質に導入することで、紫外線照射により近接するタンパク質との間に形成される共有結合を用いて相互作用タンパク質を捕捉できる手法である。当初、シグナル部分のみをミトコンドリアの膜間部に送り込み相互作用タンパク質の探索を実施したが、シグナル部分のみは膜間部で安定して存在できなかった。そこで、基質の全長を用いて解析する方法に変更した。現在、基質の全長を用いた方法でのBPAの導入に成功しており、今後相互作用タンパク質の決定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シグナル部分のみを用いた実験では、タンパク質の安定性が低く相互作用解析ができなかった。現在、全長を用いた方法でこの問題を回避し、解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
全長を用いた手法により架橋法を実施する。架橋産物は全て質量分析により同定し、膜間部に蓄積するシグナル変異体の相互作用タンパク質の決定を行う。さらに、そのタンパク質の欠損株を酵母細胞を用いて作成し、タンパク質の輸送に対する影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
シグナル部分のみを用いた実験に失敗し、相互作用タンパク質の解析が遅れたため、相互作用タンパク質の同定に必要な質量分析や、酵母遺伝子破壊株の実験等が未実施であるめ、その費用が未使用となっている。現在、問題の克服に成功しており、今後滞りなく実験が行える。
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