研究課題
若手研究
オートファジーは細胞内分解系の一つであり、二重膜小胞であるオートファゴソームの液胞での分解が重要である。液胞と融合して放出されたオートファゴソームの内膜小胞は、液胞内リパーゼであるAtg15により分解されると考えられている。しかしながら、Atg15がどのようにして液胞膜を分解せずにオートファゴソーム内膜に選択的に分解するのか明らかでない。本研究では、高精度立体構造予測を参考にしてAtg15の発現および精製を検討し、膜脂質分解機構を考察した。
構造生物学
液胞(リソソーム)における選択的な脂質膜分解は、ヒトを含む真核生物に普遍的な現象であるが、そのメカニズムの詳細は解明されていない。Atg15は、520アミノ酸残基から成るリパーゼと推定されているが、リパーゼ活性を担う通常の構造ドメインよりも約200アミノ酸残基以上も長いことから、Atg15に固有な機能に関連した構造領域を有することが強く示唆される。高精度立体構造予測が得られたことで、Atg15の酵素活性の制御の仕組みを理解する足掛かりになることが期待される。