研究課題/領域番号 |
21K15052
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
佐藤 慎哉 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50814894)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多光子顕微鏡 / Protein kinase A / 蛍光生体イメージング |
研究実績の概要 |
[1] 多光子顕微鏡システムとその周辺機器の整備 2021年度は前所属の京都大学から現所属の国立循環器病研究センター研究所(大阪府吹田市)への異動があったため、実験系の再構築を行った。京都大学が購入したオリンパス(現エビデント)の多光子顕微鏡システムFVMPE-RS-SS-SPを国立循環器病研究センター研究所に設置するために、多数の業務を行った。例としては、設置部屋の確保、部屋が設置要件を満たしていることの確認、京都大学からの機器貸付手続き、搬入経路の確保、設置作業の立会、設置後のレーザー出力試験と検出器感度試験、酸素ガス・二酸化炭素ガス配管工事の手配、などがあった。これらの作業の結果、9月末に多光子顕微鏡システムが設置され、その周辺機器は翌年2月の酸素配管整備をもって完了した。しかし、設置3カ月目の12月に光源レーザーの温度調節機能に関係する故障が発生したため、その診断や復旧のために3カ月間の作業が生じた。その結果、顕微鏡システムとその周辺機器の整備完了は3月4日まで遅延し、2021年度は残念ながら予定の実験をほとんど行うことができなかった。 [2]遺伝子組換えマウスの準備 京都大学からの遺伝子組換えマウスの移動を行うための申請書の作成を行い、凍結精子および凍結胚の移動、それから個体復元を行った。その結果、10月末にProtein kinase A (PKA) 活性をモニターするためのPKAchu系統マウスを入手できた。これを利用して、3月にPKA活性のイメージング系を再構築することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画書作成当初は京都大学に所属しており、その研究環境で実行可能な内容で計画を策定した。しかし、計画書提出後に国立循環器病研究センター研究所に異動することが決まり、研究環境を失った。 着任後の肩書は室長であったが、研究室は実在せず、仮のデスクを3か月で2度移動することとなり、最終的には他研究機関が借り上げている部屋に居候することになった。配属された先端医療技術開発部も常勤メンバーが私一人(他2名は他研究機関、または他部併任)で全く機能せず、その結果、経理書類作成、試薬管理、研究計画書作成、書類提出・回収を含む部に関する多数の業務をほぼワンオペで対応する必要が生じた。加えて、部の割当エリアは他部スタッフが数年前から既に利用していた模様で、2022年3月の改装工事をもって消滅した。したがって、私が現所属において研究を行うことは最初から想定されていなかったと思われる。加えて、上述の多光子顕微鏡システムは設置後3カ月で故障し、復旧に3か月を要し、さらに酸素配管整備に関しても、相見積作成と施工工事の両方が担当業者都合で大幅に遅延し、たった数メートルの配管延長にほぼ半年を要した。 このような事情から、私の2021年度のエフォートの大半は、新設の顕微鏡共用拠点である健都イメージングサポート拠点の整備、および他部依頼による顕微鏡観察業務の2つに費やされ、自身の研究は一切進展しなかった。網膜の生理学・生化学の研究を循環器病研究センターで行うという目論見に最初から無理があったと反省しており、京都大学に残らなかったことを後悔している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究事業は2022年4月をもって廃止し、私は一旦研究者を引退する。したがって、本研究は推進されない。しかし、もし私が研究業界に戻ることがあれば、本研究の続きとなるテーマを始める可能性があるが、少なくとも日本国内アカデミアでの復職は考えない。
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次年度使用額が生じた理由 |
先述の通り、研究環境を失ったため本研究計画の継続が困難となった。したがって使われなかった大半の予算が次年度使用額となった。2022年度の使用計画としては、4月初旬に試薬1件の購入に使用したが、それを最後として残額の返還手続きを行う。
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