今後の研究の推進方策 |
今後は、炭化ケイ素ナノ粒子内部に効果的に空孔を導入する方法を検討する。イオン照射はダイヤモンド内部に欠陥を形成させることができるが、SiCナノ粒子の結晶構造内部に空孔を作ることができるかについては研究が進められていない。本研究ではhBNナノ粒子に対してH, He, B, N, Cイオンを様々な照射量(1E13-1E18 / cm2)で照射し以下の評価を行う。 蛍光信号:SiCの発光は600ー900 nm (CsiVc), 800ー1300 nm (Vsi), 1100ー1300 nm (VsiVc)と生成する格子欠陥によって変化する。イオン照射によるどのような欠陥形成が促進されるのかについて、照射条件ごとに明らかにする。 磁気共鳴信号:SiC中のVsiの磁気共鳴周波数は70MHz程度に観察される。過剰な照射は結晶構造に歪みを与え、磁気共鳴スペクトルのブロードニングやSN比の低下につながる。磁気共鳴スペクトルの強度、線幅、SNの点からスペクトルを評価する。 温度依存性:バルクにおけるSiCの温度依存性(結合定数)は、ー1.1MHz/Kであると報告されているが、ナノ粒子については報告されていない。本研究でSiCナノ粒子の結合定数を明らかにする。 以上より温度計測に最適なイオン照射条件が決定次第、前年度までに開発した凝集開催法、表面化学修飾法、選択的分子標識法を駆使し、細胞局所の熱伝導率計測を達成する。
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