研究課題/領域番号 |
21K15055
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
沖村 千夏 山口大学, 大学院創成科学研究科, 学術研究員 (80895392)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アメーバ運動 |
研究実績の概要 |
最近、応募者らは、魚類表皮細胞ケラトサイトは、細胞体の周囲にストレスファイバをラグビーボールの縫い目に沿うように複数配列させ、そのラグビーボールを車輪のように回転させるというユニークなアメーバ運動様式をもつことを発見した。ストレスファイバは直線的な収縮運動しかできない。本研究の目的は、ストレスファイバの直線的な収縮運動がどうやって回転運動に変換されるのかを解明することである。様々な人工的な移動体において直動-回転変換機構は重要な役割を担っているが、一世紀以上の歴史のあるエンジンでさえ、ピストンの直線運動の回転への変換にはクランクシャフトのような複雑な機構を要する。生物には人工機械に無いやわらかいという特性がある。本研究では、ストレスファイバの収縮によりやわらかい細胞質が変形することで直動-回転変換を行っているという仮説を立て、顕微鏡観察と機械モデル製作という生物学・工学的手法を組合わせて仮説を立証する。本研究の成功は、近年注目を集める生物模倣による移動体のソフトロボットへの応用展開が期待できる。 今年度は、上述の仮説を実証するために、やわらかい弾性材料を用いて細胞体を模した機械モデルのプロトタイプを製作した。やわらかい弾性材料を細胞体、電気を流すと収縮するコイルをストレスファイバと見立てた。やわらかい変形可能な円筒状の弾性材料にコイルを埋め込み、コイルに電流を流したところ、コイルが収縮し機械モデルが動くことを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の流行により、各種研究集会が現地開催でなされず新しい知見を得ることが難しかったが、オンラインの開催による学会等からの知見 の収集方法にも慣れ、順調に研究を遂行させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
弾性材料で製作した機械モデルの力学的な特性をさまざまな条件で定量的に測定する。一方、生細胞の運動特性を顕微鏡下のタイムラプス観察で詳細に観察する。機械モデルと生細胞の特性が一致するかどうかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の流行の影響で学会年会等、研究集会が現地開催ではなくオンラインであったため旅費が不要であった。また、研究試薬など消耗品が研究室在庫でまかなえ、学生アルバイト等の雇用を行わなかったため、次年度使用額が生じた。次年度には、学生アルバイトなどの研究補助員の雇用、学会の現地参加旅費等を計画的に予定し、研究費を有効に利用する。
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