研究実績の概要 |
本研究では、アーキアべん毛の回転制御機構に迫る適切な機能解析系のプラットフォームを構築し、回転制御に関するパートナーの同定、および、それらのタンパク質を摂動として印加した際の反転運動を可視化することを目的としている。 本研究ではゴーストと呼ばれる細胞膜を半透過性にした抜け殻構造を用いており、細胞内にATPなどの化学的な摂動を印加可能な実験系を用いた。更に、ビーズアッセイと呼ばれる、べん毛繊維に結合したビーズを介して、モーターの回転運動を間接的に可視化した。更に、こ回転制御を担う化学走性物質を発現し、その物質を適切に処理するための遺伝学・生化学を実装した。更に、過去に我々が利用してきたPop-in, pop-outによる実験系の実装 (L. Kinosita et al., mbio, 2019)、および、Alphafoldを介したタンパク質間相互作用のin sillicoによる予測を行い、実験に基づく予測の妥当性を検証した。 上記のアッセイ系を実装した結果、反転制御に関わるCheYを1mLあたり50 uM程度の濃度で取得することに成功した。この精製したタンパク質をゴースト下でのビーズアッセイに適用した所、頻度は数%程度であるが、反時計方向から時計方向の回転に切り替わる様子を確認できた。この様な反転に関しては、CheYを添加した状況下では確認できず、CheY依存的な反転と考えられる。一方で、この反転に関して濃度依存的な反転を確認できていないため、今後、アッセイ系の改善、および、in vivoで反転を確認できない点変異体を用いて更なる検証が必要とされる。
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